パワーエロスシリーズ

女淫術師

おんないんじゅつし

ひんみり 作
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1章(女淫術師の家 女戦士)
2章(巨城 アマゾネス女帝)
3章(バルカン砲)
4章(鉄門〜大広間〜鬼隊長)
5章(淫樹の実〜発芽〜巨樹〜巨大女)
6章(惑星陵辱 性宴)
終章(平和と女王)



1章(女淫術師の家 女戦士)

美しき裸身が台上に寝ていた。
女戦士であった。
中性的な、やや痩せた、ほっそりとした体つきをしているが、その胸はアンバランスなまでに盛り上がっている。
鍛え抜かれた筋肉によって、女の魅力的な脂肪が、下から盛り立てられている。
女戦士の乳は、生命力の結実した素晴らしい肉果実であった。
腹も晒していた。
健康的で艶やかな肌であった。
美しい腹であった。
持ち主の息づかいによって、それがゆっくり上下している。

その腹が、びくと動いた。
目覚めたのだ。
女戦士に視界が、精神集中が頭蓋に復帰したとき、拘束されていることに初めて気づく。
手足は金具によって固定されていた。
何故自分は縛られているのか?
瞬間的に思い出す。
捕まったのだ。
黒いドレスを着た謎の女に。

『淫術師』と言う聞いたこともない怪しげな職業の、謎めいた女に捕らえられたのだ。
性術を専門とする魔法使いの一種らしい――
私としたことが、信じられない。なぜ、どうして? こんな怪しげな女に、こうもあっさりと。こんなことがあるの?

強靭な女戦士の鉄のようなプライドが揺らいでいた。
プライドを揺るがした原因は、すぐ傍らにいた。
女淫術師―― 四肢の自由を奪った張本人だった――


森の奥深く、闇夜にまどろむ一軒の庵(いおり)は、女淫術師の住居。
中には秘密の小部屋がある。秘術が行なわれようとしている――



謎の女は紙の符を数枚、手にして現れた。
何をするのか?
呪文らしき字が書かれている。
呪符であった。
女戦士の美しい裸身に、呪の言葉が書かれた符が、ぺたりと貼られた。

女の唇が動き、古代呪文が唱えられた。
すると――
符が女肉へ溶け込んだのである。
皮膚に癒合するように、肉の中へ溶け込んでゆく。
その輪郭が、ぼうと薄れると、呪符は、さらに奥深くへ女肉の底、女芯へと沈みこむ。
数枚、腹に沈んだ。
術師の蛭のような唇が、次々呪を発した。
呪言が肌に触れ、それも体に染み渡って、侵みてゆく。
呪が体じゅうに拡散し、溶け拡がってゆく。
淫らな呪力を持ったと言葉と呪符が、相乗して溶け蕩ろかす。
女体を蕩ろかしている。
女戦士は泣いていた。
熱い涙であった。
溢れる涙は、よがり涙であった。

女淫術師は女戦士に詰問しはじめた。
「さあ、しゃべって頂けるかしら。あなたの秘密を。」
「どこから来たのかしら? 言ってごらんなさい。」
「……………………!!!!」
「誰の命なの?」

「いや!! 誰が話すもんですか…………」
「あら、そう、わかったわ。」

更なる呪が唱えられた。
強烈な快感が、体中に拡がった。
全身に及んだ快美は激烈だった。
その快楽は爆発だ。
効いた。
が、その絶頂の頂点で、突如、呪が熄(や)んだ。
あ、いや、もっと………………
欲望が、せり上がって来た。
それは貪欲であった。

(ああ!! いつまでも味わっていたい。この歓びを。
初めてなの。こんな……凄いの。
もっともっと頂戴。与えて。私に。欲しい!欲しい!!欲しい!!!)

欲望が暴走しはじめた。
飽くなき貪欲に、女の妄執に火がついた。

「しゃべります!! なんでも話ますから、さっきの快楽を与えて!! ああ!!
どうか与えて下さい! 私にお与えになってください!! お願いします。ご主人様あぁぁぁ!!」

哀願であった。
涙ながらの哀訴であった。
(あら? 早いわねぇ…………)

女淫術師は言った。
「別にあなたをこんな形で尋問せずとも、わかったのよ。」
「こんな手段を採らなくても、人の頭の中を覗いたり、操ったりすることぐらい、」

女淫術師は、そう言いながら、女戦士の脇に腰かけた。
「訳無いことなのよ。私にとっては。」
(ああ、何もかも お見通しなの――?)

「サービスしてあげる。」
(ええっ!? これ以上、強い快感を与えられたら、廃人になってしまう……)
「別に、あなたを廃人にしても、問題ないってことも知ってるの。」
「だから、」
「遠慮無く、魂を無くした、性の廃人にしてあげる。」

「ひゃああ!!!!」
身体中に、更に、呪符が貼られ、美しい唇が、するすると呪を放った。
それは強力な呪文、強激淫呪が次々と発せられた。
快楽が球となって体中で連続爆発し、更なる歓びを誘発し、エクスタシーを誘って爆ぜた。
「あああ!!! 許してえ!! 許してえ!!!!!」

もうひとつ、言ってもいいかしら…………。
あなた、堕ちるのが早すぎるわよ。
それでも、ほんとに格闘家なの? 精神面が弱すぎるわよ。
効いた? 一ヶ月ほどは、桃源の境地をさまよっているはずよ。
飮まず食わずでも、水さえ与えられたら、死なないんじゃなくって。うふふ。


こうして、また一人、女戦士を倒した。

遣わされた者達を――

彼女等は刺客であった――

ふふ。あの女帝、どう思うかしら。
自分達の部下が次々と廃人にされて。


クルリと向きを変え、女淫術師は、窓の外――遠くを見た。
その者がいるところを――




2章(巨城 アマゾネス女帝)

巨城があった。
この星を支配する、女の帝国、アマゾネスの都。
聳える帝都の王城。
巨大な城塞。
主は女帝であった。
女帝は若い。20代だ。
美貌の若き女王。
傲慢冷酷、無慈悲な暴君として、民からは恐れられていた。


「奴は、われらが配下の者を、妖しげな術を使い、次々と再起不能の廃人にしております。」
「我が方の被害甚大。」
「ご戦術の立て直しが急務かと存じ上げます。」
臣下らが報告する。

女王が送り込んだ刺客が、また一人、また一人、倒されてゆく。
鍛えに鍛え抜かれた強靭な女戦士たちが、まるで歯がたたない相手。

彼女らは、一人として殺されてはいなかった。
だが、殺されたも同然であった。
精神と体の両方を狂わされていた。心身が、全員駄目になっていた。

帝都入口の大門の下で、発見される。
前後不覚の、何も解らない白痴になって帰ってくる。狂乱する痴体となって送り返されてくる。

姿の見えない敵の、得体の知れない術によって、蕩ろかされ、戦士として二度と使いものにならない。

おかげで、敵の正体すら未だ掴めていない。
それが数度続いた。

恐るべき敵であった。
私は今、じわじわと嬲られているのだ。
段違いの強さを、パワーの違いを見せつけるように、私の敵は、私の爪を削ぎ、刃をもいでいるのだ。

若き女王は戦慄した――


都城の大門で、また快楽失神した女体が発見された。

偵察に出した女戦士の一人。
この城でも十指を数える勇敢な戦士。

その鋼鉄の女戦士が、淫術に狂わせれ、無残な姿と化していた。

意識を取り戻したメッセンジャーは、狂態しながら、九穴より汁をぶち撒け、歌うように報告した。

「埋めこまれて、…………はひぃ、はひぃ、体にいっ、」
「やつは、…………を、を、おぉぉぉ!!!!一気に、攻めぇぇぇぇ……!!」
「返事はぁぁぁっぁぁぁ、…………今から……ここに……来る来るぅっ…………あひいぃぃぃっ!!!!!」

それだけ、どうにか上申すると、女戦士は倒れた。
胎内より突き上げる快楽の波状攻撃に、耐えきれなかったからだ。

気力が抜け、肉体を律していた緊張がゆるみ、全身を泥のように弛緩させ、女体は“失神によって”責めから解放された。


女戦士が宿した胎内からの性拷問――
胎中に植物種子があった。淫術師特製の種子。淫樹の実。
その分泌液は、女体を狂わせる成分だらけだった。
体内から、媚薬が溢れ、揮発し、エクスタシーを発散し、法悦が昇気する。
淫妖の実が放つ気体と芳香には、女を魂の底から、よがらせる力(パワー)があるのだ。

まわりに駆け寄った女兵士たちは、匂いを嗅いだだけで、頭がぼうっとし、その強力な魔香が鼻腔に少し入っただけで、失神し、尿を漏らした。



(凄いものを植えつけられている……)
(そんな凄いものを植えつけた奴が、こっちへと向かって来ている。)
(それは凄いのだ。歴戦のお姉様方よりも、もっと凄いのだ。)
「うわあ!!!!!」
陶然となっていた女たちは、事態を理解し、恐怖に震えた。
城内はパニックし、騒然となった。
女兵士達は、浮足立ち、今度は恐怖に尿を漏らした。


「うろたえるな! 敵は唯の一人であるぞ!」
女王は烈火のごとく怒った!
城内で失禁するとは、なんたる無礼!! まったくだらしのない奴等だ!!
それでも天下にその名を轟かせた女帝国の戦士か!!!!

激怒し、怒りに体を震わせる女帝が、失禁者を処刑しようとしたその時――




3章(バルカン砲)

それが現れた。
城門に現れた敵。
たった一人、単身で乗りこんできた者。

謎の女――妖女。
しかし、これが強敵?
疑問であった。
この女のどこが強いというのか?
魔鏡に映るその姿は、黒いドレスの華奢な女だ。
線の細い体の、痩せた美女。
それでいて、出るところは出ている、素晴らしい体の持ち主――
美肉ぶりを、ドレス生地の下から、悩ましく張り付かせている。


城門の女衛兵が、侵入者を迎え撃つ。
城内備え付けのバルカン砲が火を噴いた。
その銃弾を一発でも食らえば、人間の体など原形も留めないほどバラバラに四散する。
敵は、そんな強力重火器の掃射を、まともに浴びた。
バルカン砲の銃弾の直撃を次々と食らった。

掃射が止んだ。噴煙が風に流れ、人影が現れる。
女は―― 平気だ。
五体満足、平然としている。
凉しい顔。
美顔は、微笑んでいる。
次々と着弾した弾丸の衝撃を吸収し、ショックを吸い込んだのか? 傷ひとつ無い。

その身体は強力な呪によって守られているのだ。
超絶的な、皮膚を覆った呪力のパワーは、異界の超論理――

「今度はわたくしからいくわよ。」

唇が動いた。
呪を放った。
突如、銃声が止まった。
バルカン砲の火焔、鋼鉄の咆吼が、突然、熄(や)んだ。
砲から弾が発射されなくなった。
そのかわり、銃口が、とんでもないものを吐いたのである。
とろり
と、汁が出た。
砲の先から。
ぬるっ……
バルカン砲が回転を再開した。
砲が汁を撒き散らしながら回転していた。
狂ったように回転した。
のみならず、砲身が震えだした。
ゴムみたいに、ぐねっている。
くねり、しなり、砲がわなないている。
よがっている。鋼鉄の火器が。
更に熱を帯びた兵器は、砲身が、だらしなく、ぐちゃりと音を発てて溶けた。
全体が溶けて、形を失い、どろどろの塊となって床へ、ぼとっと、崩れ落ちた。

驚異の現象であった。異常事態だった。
「ひいっ!!」
「ひい!! ひい!!」
戦闘要員達は、恐怖に震えおののいていた。
妖異が起きていた。
だが妖異を起こした者は、彼女たちには目もくれずに進んだ。
前へ前へ前進する。
城内の大広間へと通じる通路を、女淫術師は堂々歩く。

この巨大な扉のむこうには、接見の間がある。
女帝の居るところだ。

分厚い鉄の扉が、行く手を立ち塞がっていた。
片手をかざした。
波打った。鋼鉄の門扉の表面が。
鋼鉄の表面が溶け始めた。
鋼鉄の大門が、淫術師の体を受け入れるようにして溶け広がり、揺れ動く液面のような、水面に同心円状の波紋を描く。妖女の体が水の中に沈みこんでゆくようにして、厚い鉄扉の中にへと、すうと消えた。
鉄の壁の中へ、沈み込むその身体。

鋼鉄の巨門が女を吸い込んだ。
その後、鉄の門扉の表面には、汁が残った。
透明な液であった。
すーっと、鉄の扉の表面を、汁がしたたり落ちてくる。
女兵士は、そのとろりとした汁に、思わず指で触れた。
瞬間! 指先から全身へと恐るべき快美が一気に走り、肉体中を、爆発的で激烈な快感のパルスが暴走し、女衛兵は一瞬にして悶絶失神した。




4章(鉄門〜大広間〜鬼隊長)

女王の大広間。
巨大な分厚い鉄扉の表面から、それが超常の変異となって、浮き上がり、せり出してきたとき、場内の目が一点に集まり、静まった。
息を呑んでいたのだ。
あまりの衝撃に――
鉄の表面に、うっすらと、円状の波紋模様が広がったかとおもうと、何かが急速に盛り上がってきた。
二つの峰――
乳首と胸、半球状の美丘、上半身が――丸味を帯びた体幹が、胴、腹と括れが、発達した腰と臀部を――鉄扉表面を妖しく抜け、メタルの水面からみるみる浮上した悩ましき女体。

鉄壁が女の顎を、肩を、腕を、生々しい裸身を、たくましい下肢を、ずい、と、凄まじい美貌をひり出した。
門扉が女を産んだ。
ドレスは脱ぎ捨てられ、全裸であった。
鉄粒子を含んだような漆黒の豊かな長髪が、気流に乗って、艶やかに舞う。

妖女の、女王への初めての謁見は、傲岸たる謁見であった。
凄艶なる美女の、全裸による拝謁は――
エロチックに濡れ輝く裸身から、超的な汁気がポタポタ落ち、床に幾つもの丸い染みが付く。

だが、妖女の行く手を、立ち塞がった者がいる。
それは大女であった。

「皇帝陛下には、指一本、触れさせぬ!!」

大女の啖呵であった。
女戦士たちの長。
特戦部隊の鬼隊長であった。
横から飛び出してきた。
とんだ邪魔者であった。

「あら、いきがっちゃって。」
女淫術師は、凉しい顔で、余裕気に振り向き、女隊長に向かってそう言った。

「ふう。」
下半身が濡れた音を発した。女性器が奇態に動いた。
貝のようにピチャリと、ググと開いた性器の内より、肉の触手がくねくね顔を出す。
桃色の紐肉が伸びた。
美性器から、飛び出してきた肉紐!
卵巣へと連なる肉鞭―― その先端は、女隊長の裂部に触れ、胴腹深くへ侵入した。

ズブリュッ!!
ぶしゅうう!!!


更に一本が飛び、大女のへそに、へその緒のようなものが繋がった。
妖女から生えた、性器から子宮へと連なる肉の管。
肉紐が、激突し、融合した。

「あなた。でか過ぎるわよ。」

二本の肉紐は激しく吸った。
吸引する。
ずぶうっ!!
さらに内へ入ってきた。
体の内部から蕩かされ、どろどろに溶解した。
「あひい!!
はひいはひいはひい!!!!」


溶けに溶けて、シャーベット状の肉に組成が変化して、透明な管の中を通って、淫術師の腹の中へ――

大女のボディが、風船がしぼむように縮み、溶けてゆく。
代わりに、妖女の腹が妊婦のごとく前へと迫り出る。妖しく膨れ出る。

ズルズルチュウチュウ……
女性器が吸い尽くした。
収まった。消失した。
大女を丸飲みにした。

「ふん!!」

丸々と膨腹していた腹が、急激に縮んで小さくなり、腹筋の美腹と化す。
大女の体をさらに組ほぐし、受精卵のサイズにまで、その体を逆行させ、小さくしたのだ。魔の吸精術であった。

「こいつはしばらく預かっておくわ。」

驚愕する周囲の女衛兵達。
城内は狂乱状態、大パニックになる。

「こんなの、どうってことないわよ。」

「究極の“淫術”をお見せするわ。」





5章(淫樹の実〜発芽〜巨樹〜巨大女)

「むん!!」
呪文が唱えると共に、淫樹の実を植えつけた女戦士の腹に、手をかざした。
ボコオッ!!!!
腹が膨れ上がる。
「ぐはあっ!!」
泣き叫んでいた女戦士の下腹部から、淫樹の実が発芽した。

ボコムゴオオッッ!!!!

爆発的に膨れ上がる桃色の肉塊。
樹である。肉でできた樹である。
ぐんぐんと伸びる。
巨大化する。
天まで届くような勢いで、音を発てて、轟音を発しながらの超高速度成長に、床がメリメリ裂けた。
凄まじい震動。
巨城の床が次々割れた。
太い根が地下室を貫く。串刺しにする。
巨木が、地を割って、根を延ばし、地中深く根を降ろす。


破片。飛び散る石材。
巨石がガラガラと崩れ落ちる。
組み上げられていた城の石組が、巨樹の急速成長によって、崩れ落ちる。
崩壊してゆく。
飛び散る瓦礫が雪のように舞い、巨石が砕け、石飛礫となり、降ってきた。
城が崩壊した。
逆に、崩落を突き破るように、蠢く巨樹が出現した。

巨大な樹であった。
途方もなく太い幹。
肉で出来た淫巨樹。


肉樹が、汁を撒き散らしながら、さらに伸びていった。
恐るべき成長ぶりだった。
爆発するかのように、天をも突き刺さんばかりに、伸びた。
こんな巨樹は無い。これほどの巨木は植物界に無い。こんな”樹木”は有り得ない。
とてつもない大きさだ。
桁違いのでかさだ。
地上の物理法則を無視している。
どんな巨樹も、この樹と較べれば子供と大人だ。蟻と象だ。比較にならない。

樹は枝々に奇態な果実を幾つもつけた。
実は急速に実った。重々しく――

果実が割れて、紐が現れた。肉の紐が乱れ飛んだ。
大地を覆った。
巨大な樹の幹が延びた。
地の果てまで延びた。
地平線の先まで、無数の枝と根が伸びてゆく。
世界を覆った。星を覆っていった。
肉紐は、ありとあらゆる生命と繋がり、繋がって吸収した。
あらゆる生命体と合体し、吸精した。
樹が、すべての生命を飲み込んだ。
この星の全生命との合一であった。
女帝、ただ一人を残して――


女淫術師が艶然と宙に飛んだ。浮かぶ。浮遊する。
惨劇を引き起こした巨樹に女淫術師の体が、樹皮に溶け込む。
樹は女を吸収した。

いや、変化を見せたのは、巨樹の方であった。
巨樹が震えた。
妖女が巨樹を中から――食っている。
内より変えてゆく。枝幹が形を変えてゆく。激震する樹は変身してゆく――巨樹が四肢を持ち、巨大な人の姿――
変形し、変態し、巨樹が女淫術師の身体となってゆく――


女淫術師が巨樹を呑み込み、巨人女と化した。
巨大女の誕生であった。
巨人と化した女は、その腹が膨れてゆく。
この星のすべての生命体を吸収し、この星のすべての生命を子宮に収めた。
超々々巨大妊婦である。

傍らには、この星に唯ひとり残った生命――女王がいた。
あとは、皆、全て女淫術師の肉体に吸収されていた。
星の凡ての生命がひとつになっていた。

女帝は失禁し脱糞した。腋の毛が濡れ、玉のような汗がどっと噴き出る。四肢が痙攣する。臓器がおかしくなる。性器も肛門も垂れ流しになる。性液が飛び散る。体が言うこと効かない。精神の自由が奪われる。
だが、眼前には、そんな汚気を軽々吹き飛ばすほどの暴力の怒張と怒気が、超常現象の大風が吹き荒れている!!!!



6章(惑星陵辱 性宴)

「黙って見てらっしゃい。」

一人生き残った女帝の前に見せつける。
その天地創造を。
見よ。
超巨大女体の、膨れ狂った女腹から、臨月さえ越えた究極の妊み腹から、熱い裂部より、動植物たちが、吹き出て来た。
大いなる母性の、神技――神の御技であった。
神の行いであった。
神しか成し得ない創造行為であった。
彼女は今、神と化した。
彼女こそ大地の女神であった。
生ける地母神の降臨であった。
女淫術師の正体は女神であった。
彼女はこの星に降り立った破壊と創造の女神であった。


星がひとつ改造された。
新生した星に、生まれ変わった星の大地は、新たな生命で、いっぱいになった。
新生命が地を埋め尽くしてゆく。

超越的に膨れ上がった妊み腹からの大量放出。生命の超創造。
魚を産んだ。
鳥を産んだ。
虫達を産んだ。
動物達を産んだ。
つぎは、植物を。

どれもこれも形が変えられていた。
通常の、常識では考えられない、悩ましい有り得ざる姿をしていた。


最後に人間を、吸収した人間達を、すべて再放出した。


エロスにあふれた種子が、エロスそのものの生命が、大地を埋め尽くしてゆく。

その星は愛欲あふるる星となった。
濃厚な汁と肉の、したたる大地。
濃密な愛と性に狂う、愛液と精液とが流れる星。


この星の動植物たちは、極度にエロス的な、桁違いの精力に狂った、強力な性エネルギーの暴走する、性能力が異常に昂進した、性機能が異常発達した生命ばかりになる。
性本能に狂った生命体しかいない惑星が、星が戸惑う。
惑星上を、たぎるエロスの熱湯は溢れ、跋扈した。

女神のパワーにより、動植物たちは、その姿形を変え、形状を変え、まったく異なる種族すら、異生物間同士でさえ、交わることが可能になった。

ぐちゃぐちゃグネグネと、変形し、ぷるぷると震え、生命たちは、異種生物間同士での超的交歓に耽った。

魚が植物を犯した。
巨鳥が大樹を貫いた。
植物の蔓の先が延びて、動物の裸身を掴み、動物の体の穴に、肉の開口部に、果肉をぶち込んだ
いやらしい形をした果実であった。
いけない形をした実であった。

合体した。
合体するのだった。

魚がその姿を変え、羽根を生やし、鳥のようになった。
すべての生き物が、軟体動物になったかのように、肌は粘液と体液に塗れまくっていた。
性汁がとどめなく星に溢れてゆく。


どう? 女帝。
わたしが本気出したらこんなもんよ。


最後の仕上げ。
犯してあげる。
このわたくしが、直々に、あなたを、犯してあげる。
感謝なさい。


凄まじい陵辱意志が女王の知脳に落雷した。

ひいいいいっ!!!!!!
この星の生ける女神となった超巨大な女淫術師のボディから、壮大な男根を発現した。
それは、神聖であり、超越的であった。
究極の太さであった。
人界の理想を遙かに越えて、岐立していた。
金剛であった。
勃起した神体が、神々しい男性器が、神の超々巨根が、貴人の肉芯を、貫いた。
女暴君の肉体に神が入ってきた――

はぎゃあぁああぁっっ!!!!!!

神との交合であった。
神意に時空が捻じ曲がり、女王は全身性器と成って、ヒトの生殖器に神の生殖器が入って来た。

よかったわね。この果報者。
人は普通、滅多に神直々なんかに犯されたりはしないものよ。
せいぜい感謝感激、興奮することね。


そう言いながら、巨神は腰を使った。
挿入し、結合する。
究極の超存在が、地上にただ一人残った知的生命を、傲然と犯しまくった。
生殖組織の塊と化した女王のボディは、宇宙レベルの神力に引き伸ばされ、性的エキスが洪水のごとく暴噴し、星に、クイーンの王液は氾濫し、神精液は星天に巨大爆発し、怒涛した!! 飛び散っていった――




終章(平和と女王)

…………
…………
…………
…………
世界に平和が戻っていた。
城の大広間に、白く明るく、爽やかで穏やかな光が射している。
城はなにも覚えていない。民たちも覚えていない。惨劇があったことを――
従者らも日常の職務をこなしている。

潮が引くように時間が逆流しのか? この者たちはエロス的生命に変えられた者たちと同じなのか?
世界が燃えるように狂いに狂った果てに、常識常態の定位と化し、究極の陵辱体験の記憶の保持者は女王ただ一人――

玉座で女王は失神していた。白眼を剥き、股を開き、海老反りに痙攣している。下半身からロイヤルゼリーのような性汁が、垂れ流しであった。王衣が汚れていた。
高貴な女王が、突如、放恣な痴体となって発見された怪異に、臣下らは驚く。

稟議によって、意識無き女王は再起不能と判断され、宮廷で馴染みの後継者争いの後、彼女は特別牢の囚人となり、退位したという……






end



10/2/14 UP 10/2/18 更新

あとがき

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