バカエロもの

エロ要員 純愛憧憬――(3)急

えろよういん じゅんあいどうけい――(3)きゅう

ひんぐるみりは 作
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(※以下からのセリフが、女の長いおしゃべりということで、長めになっていますので、飛ばし飛ばしに流し読んで下さい※)



「もっとフツーの人間ねえ〜 わたしの手下には居ないのよねえ。そういう駒はね。みんな強化改造済みだし。」

女神のくせに困っている。
(おいおい……)


「あ〜 疲れるわね、じゃ、あなたがやりたい話って、設定って、どんなんなの?」


エロ要員の女は、うっとり夢見るように語りだした。長々と、何十分にも渡って。


「A君は、とってもカッコよくって、でも見た目だけの人じゃなくて、優しくて賢くて、真摯でまっすぐな、高い目標と、熱いまごころを持った、素敵な男の子なんだけど、わたしとA君は、実は両想いで、幼い頃からお互いのことを特別に想っていたんだけど、二人はちょっとした行き違いから、お互いの気持ちに気づかないまま、擦れ違ってしまうんだけど…………

ある日、ほんとうの気持ちに気づくの、真実の想いに、自分の気持ちに正直に生きなきゃって、想いを伝えることの大切さは、何物にも変えられないって。


「……………………。」

愛する気持ちは、好きだって気持ちは、熱意は通じるって。信じる力が、わたしを変えるし、世界をも変えるの。

大好きだって、一生懸命さが、心にいっぱい表れて、どうしようもないほど溢れて、わたしを熱く激しい恋へと突き進ませるの。


「……………………。」

でもそこにモテモテ男のB君が現れて、ナンパな軽い人なんだけど、わたしには本気なの。でもC子はB君が好きなの。C子はわたしと長年の親友で、とても複雑なの。さらにA君のことが好きなD子も巻き込んでたいへんなの。D子もわたしの親友で、友情と恋愛のどっちを取るかわたしは悩むの、揺れる恋心、恋の切なさなの。
D子を傷つけたくないと思うあまり、A君の前で「彼はお友だちよ」って言ってしまって。A君にわたしが好きじゃないんだって誤解されてしまったり。
さらに強気な性格のE子も登場するの。気に入ったA君を我が物にしようと色々と画策したり、強引にアタックするの。さらにD子が好きな地味目のF君も現れて…… 人間関係が複雑に入り組んでたいへんなことになってゆくの。

でもA君はB君と、わたしを巡って……(略)

「……………………。」

でもB君もわたしのことを諦めきれ……(略)

「……………………。」

やっぱりA君はわたしに……(略)

「……………………。」

それでもわたし、A君のことを!……(略)

「……………………。」

(略)
(略)
(略)

でも最後には初恋で運命の人で憧れの人だったカッコいいA君とわたしは結ばれるの。」





「どうでもいいわ!!!! くっつくか別れるか、さっさと決めなさい! 好きだ嫌いだと言い合っている時間が無駄に長すぎるわ!!

ようはあなたが恋愛勝者になる過程ね。ナルシズムなんじゃないの? それって。
無限に優しくカッコいい彼を使って、自分がお姫様の、自分に都合の好い妄想ストーリーでしょ。自慢できた欲望かしら。そんなにあなたって価値のある生き物かしら? 高級な存在だって思いたいんだ。宝石のような特別の人生だって実感したいんだ。」


「妄想じゃないです。夢です。ロマンです。愛です。自由に生きる喜びです。女の子の求める真実の愛は、人類最高の平和と希望です。下衆(げす)な欲望と一緒にしないでください!」

「想定されている男のスカスカなキャラクター像にも違和感があるわね。
相手だって生身の生き物なのよ。性欲だってあるし、野望も野心も抱いているわ。動物的本能に振回されている、健気で下等な単細胞生物よ。つまらぬ邪心に黒い喜びを覚えたり、バカな図り事を頭に巡らせたり、低レベルな計算が破綻してしょんぼりしたり、ハメたりハメられたりしながら、小さな出来事に一喜一憂しながら、世間の荒波に揉まれながら、つつましく元気に生きている、そんな地上の現実は、それは見ないのかしら。

だいたい、どうして男は女のために生きなければならないのかしら? 男は女の奴隷なの? 野郎共には自由は無いの?

女は、優しく、美しい?
自分のナワバリの中のものは、何でも自分の思い通りにしたがる独善的な生き物なのに? それって結構低レベルな支配欲なんじゃないの? ほんとうに相手のことを思っているのかしら?

女の生理は残酷で無慈悲なものじゃなくって?
それは超一級の差別なんじゃないの? 人類の差別の根源なんじゃないの?
ただの好悪に過ぎない自分のペラペラの正義を疑わないくせに、どうして相互理解なんて出来るのかしら? 愛で世界を平和に出来るなんて甘いことをどうして平気で、しかもシラフでぬかせるのかしら?


まー、女と男の間には、だましだまされ、過大な幻想と錯覚の果てに、バブルな喜びがあっても一向に構わないけどね、……………………」




「だんだん、腹立ってきたわ。
肉体派エロヒロインにさわやか甘々恋愛なんて無いのよ!!
永遠不変の愛ですって?
恋愛は空中楼閣、蜃気楼(しんきろう)、幻、バブルよ! 追いかければ消える陽炎(かげろう)よ!

だから、やっちゃいなさい!! この牝に、自分がエロ要員だってこと、思い知らしてあげなさい!
自覚が必要よ。骨の髄までね!」

ぶすっ!ぐさっ!どぷっ(淫獣たちの挿入音 陵辱音)

「肉体を見なさい! そのエロボディが、清楚でさわやかな恋愛なんて不可能だってこと、示しているわ! エロよ! 肉よ! このエロ純度100%、淫肉グランプリが!
おのれの肉体のエロオクタン価の高さに気づきなさい!!


なぜ乳首は勃っているの! どうして乳輪ごとぷっくり膨れあがっているの! どうしておっぱいがエロいの? おしえてお姉さんよっ!!!!」
ずこばこおっ!!!!
「そっちでがんばりなさい。ヒトには向き不向きがあるわね! エロ要員はエロ世界のエロ担当だからエロ要員なのよ! ここでのエロシーンのお当番はあなたなのよ!」
ぬるうう!!!!
「カッコいい彼もあなたの肉体を見るわよ。そして勃起するわ。あなたの体を想ってね。それは良いことなのよ。正しいことだわ。うまそうな肉を見たら誰だって勃起するわ!!」
ぐりぐりい!!!!
「貫かれて、完成するのよ。
ぶち込まれてこそ! 立派なエロボディにこそ愛はあるわ!
真実の愛は、エロにあるのよ! 自由恋愛は児戯。大人はエロスよ!! エロこそ真理よ!!」

ずんずんずんっ!
「だから、犯られまくりのエロ要員、がんばんなさいっ!!」
どばあっ!!!!

「壮絶に犯られまくられなさい!!」
ぐちゅうううっっ!!!!
BOKO DOBBAAAAA!!!!!!


「ひんぐう!! はひい!!!! あひゃあああっ!!!!
お膣が限度いっぱいですぅ!!!」


「それでいいのよ!!!!」

そこに、投げこまれた、ぬるぬるの男。淫汁まみれの、憧れのA君だった。まだ人間だった。

カッコいい彼は勃起していた。エロ要員の肉体を一目見ただけで。凄まじい隆起だった。牡の猛りだった。
すぐに抱きしめられ、貫く。
合体した。
ずぼおお!!!!
「はあはあ……
美しい恋には、物語が、ストーリー性が大切なのにい!
何もかも 順番をすっ飛ばしているよお 早いよお
うう…
でも き きもちいいい〜 ふ、太いよおお……!!!! なんでぇ?」


「実はわたしは拡張技(かくちょうぎ)の使い手です。
我々は、発狂快楽系です。常軌を逸した快楽に、廃人寸前がデフォです。お解かりですか?」


「いやああああん!! 憧れの彼から、そんなどうしようもないエロセリフ、聞きたくなかった。
ぐっすん
そんなあああ!!」


っていうか、この世界には元々エロと変態しかいないんじゃ……

「ちょっぴり感動したから、もっとエロ化しなさい!!」
「ひいいいいいいい!!!!」



激しい陵辱音を聞きながらの感慨――


深山に架かる掴めぬ虹。
数千年前からわかっていることなのに、なぜ人は不可能を追い求めてしまうのか――。




end



06/11/9 UP
07/5/23 一部修正 パワーエロスから移設

あとがき

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