パワーエロスシリーズ / 伝奇官能バイオレンス

淫魔夫人別伝2 戦闘篇

いんまふじんべつでん2 せんとうへん

ひんみり 作
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高子は、夫の高吉には一週間の長旅になる。家を空けるとだけ告げた。
当たったのよ。海外旅行。
近所のスーパーマーケットの。特賞品よ。

と、うそぶいた。
今時ずいぶんゴージャスだな と、夫は暢気(のんき)に返した。
高吉の間延びした声が居間に流れた。

たのしんでこい。
ええ、たのしんでくるわ。

明朝――
高子は出発した。
高子を乗せたジェット旅客機は高空の世界を飛んだ。
美しき人妻を包んで成層圏をゆく機影――
9時間30分ほどの巡航ののち着陸した。美影は異国の地を踏んだ。新大陸であった。

入国審査の審査官は東洋の美人妻にうっとりとした。蕩けるような美貌に。
目的はサイトシーイングと答えた。
だが、空港で黒い服の異人たちが高子を出迎えた。政府職員風の男達は異様であった。
あきらかに観光ではない。
その証拠にターミナルビルの傍らに小型機が待機していた。
ビジネス用ジェット機が高子を迎えた。
彼女を送迎するセレブのステータスシンボルは、とある研究所のものだった。
出迎えたのは黒服の紳士たち。長身と肥満体が二名。他にも男達が数名いた。
妖艶な美女を乗せて小型ジェットの揚力は軽やかに飛翔した。高空へと力強く上昇する。
金属音を奏でる飛翔体の機内で、女と男の会話は、ビジネスライクな、商談のようであった――
「秘密研究で、特殊で特別な、超人研究所ねぇ――」
「奥様をお招きしたのは、奥様がお強いからです」
「へぇー」
「当研究所で奥様の強さの秘密と秘訣を調査し解明したいものと願ってまして。このたび、ご足労願ったわけです」
「ふーん、あたらしいスーパーヒーロー・スーパーヒロインを造り出そうと日夜研鑽に励んでいる、よからぬ機関ね」
ずばり言った人妻は彼等の招聘を気に入っていないようであった。



 
着陸した先は、無人の荒野の中の研究施設――
大陸らしい荒涼とした光景が圧倒的なスケールで広大していた。
現代的な白亜の建物が所狭しと林立する。施設群の中は案外狭苦しい感があった。
「ご大層ね」
バイオテクノロジーの実験用機器が詰まった特殊なラボラトリー。
「こちらでございます」
研究施設へ案内される。
白いラボには魔薬がズラリと並ぶ。強化薬だ。大量製造された強化薬が棚にひしめいている。危険な魔効を秘めた魔薬が――
薬品の匂いが香った。
筋肉強化剤を使用し、筋肉成長、筋肉肥大、内臓強壮、肉体増強、骨格強化を促がす。
育成された筋肉は治験体を強く変えるが、強く成り過ぎたマッスルは人格に支障を来たし、異様を生み出す。
作用も副作用もパワフルでマッチョでバイオレンスな男共が出来あがる。
「重篤な副作用ありね。あなた方たちバカなんじゃないの?」
美しき人妻は単刀直入に言った。
研究所は対人対物用途の超人を製造するという。
このラボはすでに超人の試作を造りだしていた。
産物は改造人間であった。
超科学の働きかけは―― 魔改造の生理を促がす薬液は―― 身体改造のエキスをぶち込まれし者は――
「当研究所の傑作です」
自信満々の研究者に改造人間を紹介された。
ロマンスグレーのマッドサイエンティストは自信たっぷりに、
「新作です」
凛々しき長身の美男子は――
超筋肉質の白人男性の強化兵であった。
逞しき貴公子の男性モデルだ。
「名はミュービスマルクだ。よろしくな」
フルヌードの全裸だ。
「ここの改造人間、スーパーヒーローのナンバー3だな。目下のところは」
いや、スーパーヒーローというより、筋肉の猛威が隆々とした淫肉であった。
そんな妖しい異性を、年代物のワインでも勧めるみたいに勧められた。
高子の豊かな胸は踊った。
尻も、であった。
「気に入られましたか?」
「ええ――」
気にいったのだ。一目見て。
超人化の副作用か、このラボの超人共は、どいつもこいつも皆でかい。
男性器官が、であった。
風格していた。壮大な迫力で。
「いいわ」
擡げてゆく。盛り上がってゆく。情欲を感じた器官は愛を交わすための逞しき根となってゆく。
喜悦したリンガは凛々しく発情した。
「どのくらい、お強いの?」
思わず高子は訊いた。
好奇心への返答は、テストルームに煌いた凶暴な男の笑声であった。
改造魔人の戦闘能力は、鉄板をもブチ破る拳を、鋼鉄の装甲をも破る脚を、矛としての機能を披露した。
強いぜ、と言っていた。
改造人間ミュービスマルクは盾としての剛体を、鋼の聖獣ぶりを吼えた。小口径の拳銃弾なら耐えそうであった。筋肉の鎧が全身に驕慢していた。
ヒグマのようなマッスルが筋量途上している。肉量が謝絶している。凄まじい体躯だ。
鬼神の如く膨らんだ。血液流入する。硬く勃起してゆく。
美獣人の下半身は獣性に漲りきった。ギラギラ とした肉の尖塔は、覆われることもなく剥き出しだ。
恐るべきサイズの肉槍がメタルに武勇している。
隣りの射撃場に移動した。
改造人間の筋肉剛体が嘲笑した。試験射撃数発に筋肉隆起が耐える。美獣の皮膚は弾丸を弾き返す。続けて数十発、床に落ちる金属音は全てひしゃげて潰れた。拳銃弾の末路であった。弾道学は筋肉の前に変形した。
超人男が剛肉のバットを一振り、ピストルの弾を打ち返した。
とんでもない体だった。
堂々たる超人は下卑た意志を傲慢した。
でかいだろ奥さん、硬くて太くて、すげえんだぜ、オレとやるかい?
言語を超越して“合体”の意思を伝えてきた。
挿れれば死傷するサイズだ。
エロスの熱風を見つめながら高子は呆れたような調子でつぶやいた。
「殿方ってほんとバカね。あなた方の大好きな、戦闘と戦争や破壊や暴力に、ロクでもない行為に快楽が詰まっているのはなぜかしら?」
寂寥を込めて美声は虚空を舞った――



 
だが、貫かれたのは高子ではなかった。
隣の研究施設でポルノ女優が実験台にされた。
「ぬうんッ!!ふうんッ!!」
超人の野蛮な獣声は轟いた。
ミュービスマルクの怒張の挿入は殺意の衝撃であった。ポルノ女優の愛液はパンティを破壊した。スキャンティを引き裂いた魔巨根は一撃した。
常人離れした性戦闘能力のテストであった。
「ひぎい!膣が張り裂ける!お尻が張り裂ける!破壊されてしまう!!」
そのとおりだった。
膣奥がぶち破られた。
愛液どころではなかった。膣肉は悲鳴する。
セックス試験に膣腔が破壊され、男根自慢の改造人間に鉄根をぶち込まれ、血潮を破水した。
魔改造されたペニスの狂宴だ。サディスティックな性交だ。
「うおぅ!!」
鬨の声を噴きあげて、狂気と混沌の陵辱が奔る。極端に太くて長い魔羅は、男女の春画はエロスの新次元に到達する。神的熱狂の煽情を乱造する。
二体の裸躰は絡みあった肉壷の粘りだ。
淫液は凄まじく噴き出した。
メガペニス――巨大男性根はポルノ女優の膣を突き破って、強力にピストンする。淫肉のシリンダーは悶え狂う。
「し、死んでしまう!!」
血液や体液をぶち撒けながら、ポルノ女優は事態を正しく報告した。
バビンスキー反射を狂おしく発現し、白眼を剥きまくり脳も体も死亡する。生ける死肉と化す。
官能の奇跡を起こしまくったスーパーヒューマンは貪欲に往復した。
改造人間はセックスに情けは無用とばかりに、大穴の開いた膣腔から内臓目掛けて、非情の白濁を噴液する。
ポルノのプロ女優はイッてはならない。インサートされたとき、ポルノ女優ビアンカは試愛に耐えようとした。ポルノのプロはエロスの極限試験に、欲情の超試合に勝とうとした。商売女は感じるフリをする。プロの娼婦には演技は重要だ。
なのに、ヨガリの極致と化した尻から齎されるエロスの重い快答に、重量感たっぷりの嬲りに、肉は快楽の榴弾と化し、尻は激悦の爆薬と化し、我欲を蕩かす愛欲地獄の掃射は、エキサイティング過剰な喜悦を大噴射した。
奇跡の粘液地帯であった。痴態は愛の焦土と化した。エロスの大炎はデルタ地帯をブチ破った。メスの潤滑液が室内に褒賞のごとく飛び散った。
「ヒギイィッ!!!!!!」
ポルノ女優ビアンカは文字通りイッてしまったのである。
改造人間は人間離れした殺人器官をメリメリメリ! と引き貫くと、グイッ!と、高子の方に粘液塗れの戦闘凶器を見せつけた。
次は奥さんの番だぜ、オレの魔根でたっぷり可愛がってやるぜ――
重厚な体躯より撥ね上がった肉根の凶暴は超鋼級のプライドであった――



 
「さっそくですが、奥様のほうも、テストさせていただきます」
高子の胸が昂ぶった。
鼓動が早くなる。
「どきどきしますわ」
高子は美しくストリップした。
人妻の覆いが落ち、美肉が盛り上がる。
下着まで脱ぎ捨てた。
産まれたままの躰になった。
拘禁から解放されて、人妻の白い肉が恬然と盛り上がる。
全裸となった高子は輝く肉であった。
肉体は紅潮した。
暴力性交の一部始終を観てしまい、興奮している。
もう四つん這いであった。
前も後ろも濡れている。
見せつけるお尻に、うやうやしくアナルに、砲弾状のカプセルが宛がわれる。いわゆる座薬だ。
「これって座薬? セックスのまえに何かしら? 景気づけ?」
全裸の人妻は妖しく胸をときめかせて、心臓は高鳴り、ドキドキしている。
「そのようなものです。中身はとびっきりのカクテルでございます。奥様。この世の選り抜きの、毒の詰め合わせでございます」
「えっ!?」
瞠目する高子に無慮は挿った――
妖女は尻穴に毒物盛り合わせを座薬される。
毒素毒物毒液のスペシャル魔科学カプセルは、凶性を秘めてシャトル状に成形され、危険な中身が人妻のアヌスより捩じ挿る。
「やばいわ、いけない! だめ……!死んじゃう……!」
人妻の抵抗を無視して、変態音とともにカプセルは侵入した。
危険な毒物どもは威力した。サリン神経毒、青酸カリ、砒素、蛇毒、アルファ線源ポロニウム、ボツリヌス菌毒素、破傷風菌毒素テタノスパスミン、フグ毒テトロドトキシンなどの、禄でもない猛毒の盛り合わせであった。最悪であった。
そんな超やばいブツが溶け始めた。
「あひっ…、うんぼぉ、ぬぼぉ!」
人類の悪意に即死しかねない。
いやらしい毒性感が腸に満ちる。最悪であった。
「あうっ!ひぎッひぎい!」
ゾクゾクきた。
高子への暴力であった。
悪寒であった。吐き気であった。動悸し、息切れする。顔面蒼白となり、粟を立てた美皮膚であった。
毒素は高子の美体を殺戮的に巡った。毒物が腸壁から次々に吸収され、血流に乗って凶悪な薬理は拡散し、殺傷力が美体を殺戮巡行してゆく。毒が心停止を迫る。
「しぬしぬ、しんでしまう!」
粒選りの毒物だらけだ。一気に効いた。すさまじい毒性であった。
さすがの高子も死ぬレベルだ。
超微量でも致死量に達する毒性は、ふつうの女ならば、とっくにあの世行きだ。
「うぴういえ、ぐうわじゅう、ぬぶぬばぬぐぬぼぬひ、うほうがはあ゛あぁ゛ぁ゛――」
薬殺拷問に、うわ言を、人ならぬ奇語を、異界の言を、絶鳴(ぜつめい)を、迷言しつつ、瀕死状態が女の喉が、息も絶え絶えの女が呻いた。
ひとつの問いを。

「お訊きしていい……? これって妖物撃退用の薬かしら……」
美しき擦れ声が問う――

碩学が問いに応じた――
「ええ、奥様、常人ならば、とうに死んでおります――」
「じゃ、あたくし、普通じゃないって事ね……」

自称魔物研究の大家に虫並みの扱いをされて――
だが、高子は目を爛々と鬼のように炯眼させ、エロスの美相は死相の境地に、高僧のごとく瞑想した。
美しい人妻は――
魔人殺しの研究家は耳を疑った。
高子の舌は明瞭に人語を発したからである。

「テストはここまで。昆虫標本じゃないんだから。あたくしを半殺しにして標本にするおつもり? 貴方たち――」

コブラの猛毒が体細胞を灼き、フグ毒が神経阻害の薬理に猛威をふるう最中に、であった。
毒に身を激しく煩悶し、トリカブトの毒に肢体をくねらせながら、全身の筋肉が痙攣と瘧(おこり)を劇発させる苦行の美女は――
快気を憤懣した。超興奮した。超抑制した。
否、毒性を制圧しつつある妖女の気迫であった――
否、正確にはこうであろう――
薬は過ぎると毒である。ゆえに薬剤師や劇物薬物薬品の管理専門家が各国にいる。ならば彼らなら言うだろう。超人女にとっての適量とは、これなのではないか?と。

「毒はスーパーウーマンにとっては薬効よ。女を興奮させるわ」

毒物は超人女の滋養強壮になりつつあった――
凄まじき毒液の刺激に、妖女の肉体は鋭敏化し、強心し、亢進しつつあった。
「秘儀意!波羅蜜多!破旺羅!阿吽素嗚!」
呼吸を整え、鬼女の秘儀は猛勇機鋒した。奇態奇悦に悶え染まった媚態だった。答えはエレガントであった。肉が清らかに、美しく、強く気焔してゆく――
晴れやかにエクスタシーは諒解した。
高子は汁塗れの尻を突きつけながら、
「あたくしの体の中にはまだ毒が廻っていますのよ。死にたくなかったらボスと上司の名前をお言い」
尻をくねらせて高子は脅迫した。
「なんだと、この毒女!」
「毒女なんて失敬ね。あんたたちがブチ込んだ毒でしょ。解毒していただきたいわね」
「それは出来ぬ。人類の科学力の限界だ」
妖女の尻が眼前に迫る。
「あたくしが少し毛孔を開いて毒素を放出したら、あなた方即死しますけど、そんな事態になっていいんですか?」
「それは絶対にいかんぞ、毒女。第一に、わしが最初に死んでしまうではないか」
「まあ勝手な人たち、とんでもないお薬を打っておいて呆れたわ。まあ自分でなんとかいたしますわ」
妖女ならでは奇怪な判断で、異様は満ち満ちた。
熱い。
ラボが熱くなる。
高子は発熱している。
「うおおおお……」
お尻はくねる。女の腰が淫らに悶える。豊かな胸がいやらしく震える。
人妻の臓器が異妖な音を発てて激闘を開始した。妖女の胎内は未知未到の生理活性を急活性化させた。
魔女の体内で無毒化が急激に進んだ。解毒は劇的に頻発した。奇跡は激発した。細胞が毒物を生理し、内臓が毒液を分離し、有機毒は分解されてゆく。肝臓が熱く発熱し化学反応を急進させ、毒素を清華し、トキシンをアルカロイドを清廉浄化してゆく。
「ほああああ!!」
魔女は毒物を集結させる。無機毒の凝集は拡散の原理に反抗し、有害物質を異空へと保管されたか、奇怪な化学現象が妖女の体内に、生命科学の奇現象が何ダースも濫溌した。
人妻は一個の奇蹟となり、幾重もの奇蹟をおえた――
「ああ、すごい刺激だったわ―― いかが?」
美しき女体は、魁偉な生化学を怪気させて、スタイリッシュに清笑した。
「歩く奇跡といったところかしら?」
淫らに微笑む。媚香を揮発させて。
「妖物は死なぬか――」
妖女の生命力は研究者グランパトリックを驚嘆させた。
「次は、運動能力をテストさせていただきます。奥様――」
軍事兵器研究者達は実験場へと高子を招いた。



 
タカコの右腕が MBT、メイン・バトル・タンク(main battle tank / MBT)を狙った。M1戦車が破壊の目標であった。
人妻の片手が装甲をブチ抜く!
妖女の片腕が、複合装甲の超鋼鉄に穴を開けた。
「HAN!!」
女の腕力は凄かった。
貫手を戻すと、美影は翔んだ。戦車を飛び越える肉弾は人妻の運動能力だ。
刹那、高子は戦車の後部に回った。
高子はM1戦車のタービン積載スペースに両腕をブチ込んだ。
「Munn...!!」
ひどい金属の異音がした。高子が腕を引き戻すと、ケーブルを引き摺ってタービンエンジンがひり出る。機械油が淫らに飛び散る。
高子はM1戦車のタービンを取り出した。魚の内臓みたく動力機関は掻き出されて、汁気が滴っている。メカオイルの噴液だ。
破片をブチ撒ける機関部のモロ出しをどしん!と大地に置くと、
妖女は砲塔に飛び乗った。
裸身が戦車砲を舐める。美唇は砲身にキスする。高子の太腿が挟んで、主砲に性器を擦りつけると、密着の愛液が砲に潤んだ。全裸の妖女の股間から滴った性液だった。
「Wao!!」
太腿で締めつける。
M1戦車がメスのパワーに捩れてゆく。
メリメリメリメリッ!!!!
戦車が人妻に陵辱されていく。
破戒の魔行は漲った。
「最高のモノを持っているわね」
戦車砲は快楽重視の超人女にもってこいであった。
無機物がヨガりそうだった。
金属塊が喜悦しそうだった。
万物をヨガらせそうな妖女のパワーだ。
太腿と尻の悩ましい締結力に鋼鉄の砲身は奇音を響かせ歪んだ。
淫らに戦車砲は捻り歪んだ。
テストフィールドに快楽は狂騰した。
そして、
M1戦車のハッチを内側へぶち破る。女の拳であった。
軟体の美身は侵入した。
拳銃を構えた戦車兵に、瞬時に応戦するセクシーな侵入体は、襲った女腕が戦車兵に愛を与えた。
「ほぉら――」
弄いは数秒――
戦車兵の体の上と下を美腕が触手のように弄うと、数秒で股間が白い液を噴き出した。兵士は白濁の洪水だ。
股下は精液の糊であった。
「ほぉれ、どぴゅどぴゅ――」
ゼリー状の氾濫原はメソポタミアしていた。いや、古代エジプトだ。ナイルの賜物だ。
タンクの中身は戦車兵の射精するザーメンに塗れた。
射精という名の生命の祝祭が匂った。
美女の美手が舞う。
全搭乗員が射精失神した。
車内が精液の即席の試射場と化した。
美身はザーメンの海から弾道弾のように飛翔し、60メートル先の灼けた大地に美体は着地する。
高子の美手が、研究所の近くにあった高さ40メートル以上の巨石に、手を掛けた。
「戦争よりもおっぱいとお尻よ。国の任務は忘れなさい」
大地にメリ込むモニュメントは盛り上がった。巨石はもりもり天空に衝き上がった。高子が持ち上げた巨石岩塊は、総重量二百五十トン以上、反則の重量だ。
高子の片手が反則を投擲した。不気味な風切り音を発生させながら、唸る巨塊は飛翔した。
巨大質量を不気味に軋ませ、無人タイプのM1戦車目掛けて、無慈悲に落下した。
ドガアッ゛グジャア゛ッ!!!!!!
巨大質量に無人戦車が潰れるのは言うまでもなかった。
大重量のもたらす圧壊の物理は、M1戦車を破壊するにもってこいであった。
TAKAKOとM1戦車を対戦させるのは、かわいそうであった。
エイブラムス戦車が――
東洋の妖女が、これほどまでに強いとは――
通常兵器では歯がたたない。
殲滅には戦術核が必要なのではないのか?と思えるほどの超常のパワーであった。
異妖は匂っていた。
快楽地帯は欲望をテーゼした。
「すてきな奥さまのお尻とおっぱいに、つぶされたくなくって?」
タカコはエロスを淫らに妖艶した。
「タカコ様、合格でございます――」
「ああ、タカコ様――」
二つのテストを終えて美しき妖威は、居並ぶ魔道研究者らを瞠目させ、老教授を感嘆させた、高子のパワーの発揮であった。



 
「わたくしを研究すればもっと強い超人を作り出せますわ」
妖女は提案をした。
その通りだった。さっそく妖魔女研究は取りかかられた。
高子はシャワーを一浴びして、白い験体用の衣服を着た。
麗しい女体を包むサッパリとした涼感。高級なる虜囚はハレムの女奴隷をおもわせた。
妖女の細胞は調べられた。
生真面目そうな医務官に、無機質な医務室で応対される。
口中の粘膜を拭い細胞とDNAを採取するというスタンダードな手法が試された。
だが、
「ひい」
妖魔の細胞は顕微鏡で観察しようとした医官をヨガらせた。視認が困難であった。
研究対象が研究者に影響を与えた。
「あひい」
PCRマシンを使おうとした。DNAシーケンサーをセットしようとした。インキュベーターを作動させようとした。
だが訓練された研究員の手が目的を逸走し、知の探究者らの双眸は茫洋と虚空を見つめた。装置も妖気を浴び色を失い、妖性細胞と魔性の蛋白質を呑むことを拒否した。
「ひぎいい」
探究者たちは人妻の体の中身をスキャンして見ようとした。スリーサイズを計ろうとした。体重を量ろうとした。
だが研究者たちは身長測定すら叶わなかった。
事態に研究者たちは憔悴した。学究は叶わなかった。
阻んだもの――至極、単純であった。
駘蕩たる春風、花の蜜のような――妖花の色気であった。
色仕掛けは女の武器だ。
妖女の全身から甘い気が洩れる。
凄まじいレベルで。
振り切れている。
高子は自在に媚を放つ。
エロスのオーラを。艶を含んだ桃源の媚声を。網膜が灼けるような奇蹟の媚態を。
全身ハニートラップのトーンがあがった。
手を翼のように広げて、にじり寄る美女の哀願であった。
色っぽい。ふつうの人妻みたいだ――
潤う双眸は愛撫を求めた。
事態が白熱した。
脳が別の意味で蕩けきった。
研究どころではなかった。
いや、別の研究に精を出した。
お尻に手を掛けた。
触診は女脂を掴んで弄り廻した。快撫に進化した。
男性研究員達が妖花の探求に招き寄せられた。女肉を祝賛した。
女体の神秘に触れて、総毛立つ感触に男達は昂騰した。
「エクセレント!」
「ビューティホーッ!」
「ゴートゥーヘブンン!!」
白痴化の一途をたどった。
さらに痴語は迸った。
「マーベラス!ラスベガス!ゴッドネス!!!」
「グラマラスレディ!!マイフェアレディ!!ウルトラセクシィー!エクスタシィィィ!!!」
「キューティーガァール!カーニバル!!フェスティバル!クリティカル!クリスタル!スパイラル!!」
男達は痴歌を歌った。
高子は保育園の保母のように微笑む。篤い信徒の信仰を慈しむ聖母のように微笑む。
豊かなバストが揺れて別の生き物みたく淫らに弾む。
「コミカルな人たちね。埒が明かないわ。そのまえに」
揉み弄う信者達の腕々を振りきって、セクシーな肉影がそこに飛び込んだ。
高子は中央薬品収蔵庫に―― セントラル・ドラッグ・デポットに飛び込む。ドラッグ管理の研究員にお願いすると、いや、妖女の艶声は研究員の耳孔に甘く毒のように入り込み、妖女の意志は彼の中枢に達し、第一命令完遂条件と化した。高子は命じた。
「アムリタ、ソーマ、エンジェルダストよ。アンプルから注射器に入れて、お尻に打ち込むのよ。三本ともね」
「元気になれる。超元気になれるわ。
あたくし強力な魔薬を打たれてハイになるわ。
エンジェルダストは象もが狂う作用の凄まじさね」

命令を受信し、注射器三本は尻に向かった。高子の操り人形と化した研究員は適確な動作でロボットのように女尻に針を射した。
「はうっ!」
美尻は注射された。
高子はとても元気になった。
魔薬のトリプル・カクテルが激効した。
「くおふ」
残存する猛毒と魔薬との相乗に、新次元の感覚が火柱のごとく爆燃した。
「ちょうど、おあつらえ向きのものがあるわ。いえ、素敵な女の人の事よ」
隣室の医務室にポルノ女優ビアンカの廃人体が眠る。セックス廃人の相であった。妖女が傍らに寄り添う。聖母のように。
「お舐め」
廃人女に舐めさせた。
興奮の高子も舐めた。
すると、ビアンカの損傷した膣が急快復する。膣の穴が埋まり内臓の具合が良くなった。治癒快復は魔女の秘術であった。
女と女が魔交し快癒する。肉が肉を詰めてゆく。
「いいわ――」
ビアンカの太腿は豊かに流れ、尻が発達している。
高子の尻も負けてなかった。大きい。この世界に官能美を魅せる。
「無敵のお尻よ。で、素敵なおっぱいもあるわ」
高子は自慢の乳をブルンッ!! と揺らす。
洋物ポルノ女優の肉体に、オリエンタルな美人妻の乳圧は破戒的に圧し掛かった。
乳が乳を潰した。
女肉が女肉を押し拡げた。官能が応酬した。女肉同士が潰れ合う。絡み合う姿態が汗と汁を噴く。
目覚めたビアンカに巨乳を舐めさせ、次にお尻を舐めさせた。愛液は怒濤した。
唾液が襲った。高子の唾液であった。快復の滋養をポルノ女優の肉肌に塗布した。万能の塗り薬みたく。
「元気になりなさい」
「あひいっ!!!!」
ビアンカは全身に溢れる魔戯に失神した。
ポルノ女優を数十秒でヨガリ狂わせた人妻の媚戯は――
人妻の指先から愛の甘露が濡光る雫となりて滴り落ちた――

そうしてラボを出た。
昂奮に上気した超女は、韋駄天の如く駆けだした。凄まじい猛脚力で。
人妻の小笠原流の足捌きから急加速した。
研究所の金網をぶち破った美の弾丸であった。
エクスタシーは荒野を疾走した。
美女は大陸に超常を疾駆した。強靭な筋肉がフルスロットルする。
16秒で時速130マイルに達した。
絶頂の肉体であった。
「爆走ね」
猛速する美女が言った。
エロチックな人妻が爆発的に快走する。
毒薬と魔薬のダブルの刺激に昂奮する駿走体は――
砂漠の走路はライナー状の砂塵を噴煙する。
激走の行先は12マイル先の秘密空軍基地であった――



 
「I'm coming!!」
美女研究員ダージリンは女性器に捩じ入った快美に嬌声を何度も放った。
若い外人女の青春のアクメ・ボイスがガンルームに響いた。
震えるほど狂熱した。
エコーチェンバーと化した士官室を震撼させた。
ダージリンの肢体は、太くて強くて逞しいダーリンに犯されていた。
ダーリンはビッグサイズのフランクフルトを思いっきり膨らませて暴威した。
「OH!! NO!!」
見るだけで死んでしまいそうなビッグボーイの戦闘形状だ。
挿入はエロチックな汁音を奏でた。
悩ましい感触に膣が張り裂ける。
「No!!」と言ったダージリンの膣道に快楽が驀進した。
逞しいロングストロークは轟した。
快美の塊が充実感をもって抉り抜いた。
「OH!! Yes!!」
男根表皮の静脈怒張を感じるほどであった。亀頭の硬度は鉄であった。
肉槍はストロークした。
グチュンッッ!!ブチュンッッ!!
「OH!! Yeah!! more deep!!」
熱い鬼棒はメスの粘膜を抉る。
メスの喜悦を穿(ほじく)るいけない肉槍。
ダージリンのダーリンはイケメンで鬼ペニスだ。
ビッグサイズの殺戮サイズだ。
挿れられたら即、絶頂してしまう。もうそれだけで好色な女にはたまらなかった。
「オゥ!クレイジー!」
インテリ女のエロスの資源は掘り起こされる。エクスタシーが採掘される。開拓者精神がいけないフィールドで超歓喜した。外人女の体細胞に爆発した。
「アゥ!セレンビリティ!」
性欲は開拓地だ。
「イヤッ!コングラッチュレーション!」
エロスは愛欲を撒き散らす。
ディープキスを促がす。
「オオッ!!オーマイゴッドネス!ギルティ!!」
蕩け合う生気は。
生殖という名の激闘であった。
ダージリンを屠殺したフィアンセはセックス器官であった。
身長190センチ体重95キロ、逞しき筋肉極致のマッスル魔人だ。
骨格も筋量もあれも壮大だ。あっちもすごい。
射精音が唸った。
大量に射精された。
「ハアァンンンッ!!」
性器から抜錨した巨大男根が濃厚な白濁を煌かせながら、女の眼前に次なる欲望を迫った。
「ワァオ!!」
精液と愛液臭いどろどろの肉槍だ。
迫力は驚愕するダージリンの口を塞いだ。
「スペシャル!!」
愛欲のフェラチオ奉仕に、数秒で新鮮な白濁は着弾した。
二発目をタップリ魔精した。美唇にスペルマを飲ませた。絶倫が口腔を陵辱した。美貌に汚液を与える。擦りつけ堂々と思う存分に顔面陵辱して離れる――恍惚する美顔を放恣させ、美貌を開口させた――
猛り狂う男根がふたたび美尻にぶち込まれた。
メスをよがり狂わせる。歓喜の三発目であった。
撃ち込まれるカウパー氏液の量にダージリンは驚嘆した。
しかも、さっきよりも大きくなってる!?太い、太いわ!あなた!どうして長く大きくできるの――?
狂噴は流れる。
狂感は恵方した。
ダージリンの狂態であった。
「GoHaaaaaa!!!!!!!!」
ダージリンをセックス処刑した規格外は――研究所の改造人間のナンバー1、聖青年ネオジュリアンの魔巨根であった――



 
その頃―― 高子も秘密空軍基地で捕まっていた。捕縛された高子への拷問は大電流であった。
異端のパワーエレクトロニクスが、縛られた高子の尻を“過激”に歓迎した。
東洋美人に対するサディスティックな“おもてなし”だ。
拷問官は女軍人であった。
研究機関からの焼いて攻撃せよとの指示もあった。
嬲り許可だ。
命令を受けて女拷問官は、そいつはいいわね と喜色満面し、火花が出るほど電圧した。
電撃が女捕虜の肉体を焼いた。
パンティは引き摺り下ろされ、尻剥き出しの事態だ。
筋肉が変態的に痙攣し、体孔が煙臭を漏洩する。
高子は苦悶の悲鳴を噴いた。
「やめて、あなた、死ぬわ!体の自由がきかない!!お腹の中が焼けてゆくわ!!!」
縛られた高子が大電流に淫罰されている。のたうつ蛇のような太い電線はサディスティックな快楽を保証する。
女軍人の腕に握られたスーパースタンガンは殺人級の拷問道具と化し、禍々しき先端がすでに何度も高子の尻へと突撃している。
「あああーーっ!!」
電撃を受ける高子はマゾの極致であった。
我慢強い。否、我慢というレベルではない――
二本の電線に何度もアタックを繰り返されて、黒焦げの異臭を放つ尻穴は、6600ボルトの電撃に胃腸が焼けてしまっている。体内から火傷してしまう。
なのに、
黒煙をアナルから噴火しながら、囚われの美女は、“やけ”に達者に喋った。
「もっと焼いて、お腹の中まで焼いて」
苦悶の女囚は、肉体をくねらせながら――異妖なるリクエストを求めた。
腸まで電気に灼かれている女のセリフとはおもえなかった。
呂律がしっかりしている。
重傷とはおもえない。
「ああ――」
6600ボルトの高圧が“気持ちのいい”女であった。
見よ――
電撃は妖女の御馳走になっている――
異臭を噴き上げながら妖体は怪悦した。
「おお――」
高子の尻が急激に快復してゆく――
狐色に焼けた皮膚が、艶やかな張りを、瑞々しい美肌を取り戻してゆくではないか。
綺麗に元通りになった高子は学園映画の転校生のごとく爽快に自己紹介した。
「はじめまして、あたくし新大寺高子。いやらしい東洋人よ。エッチがとっても好きなだけよ」
言うやいなや、人妻は束縛の腕輪と足輪をぬぅん!と引き千切った。
ブチンッ!!バカァーーッ!!
鋼鉄製の拘束具は金属音を絶叫し飛散する。
上半身がセックスパワーを顕示した。
ビッチのスーパー乳首であった。ハイピッチで盛り上がった。ぶち勃ち上がった乳輪と乳肉の尖塔であった。
高子の乳房は外人女に負けじと淫らな肉球だ。性欲を催す形状はエロスの盛花だ。
性愛の乳肉は華々しくエロチックに官能美している。
「暴力には暴力よね、うふふ――電撃でお礼しようかしら? あなたがあたくしに与えたもの、どう?欲しい?」
異妖が迫る。
形勢逆転であった。
女拷問官は恐怖した。
「ヒギイッ!!」
泣き叫ぶ女拷問官の前で高子は、大電圧ケーブルを女暴君から奪いとった。高子は何気なく、といった調子で、太い電線を喰い千切った。
人妻の美貌から火花が凄まじく飛び散る。エナメルの白い歯が蒼白き炎を噴く。無数のスパークが鮮烈する。
桃の歯茎が煌々とパーティクルをぶち撒けながら妖女は快笑する。
「ヒャア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
サディスト女士官は悲鳴した。いや、それ以上、声が出なかった。未知なるパワーが女軍人の喉を圧し潰した。
凄まじい攻勢は競る。愛欲の化身は外人女に迫る。雌肉は雌肉を攻め弄った。
人妻の美指がミリタリ女のセックス孔を抉った。女指は軍服とパンティをブチ破って侵入した。女性器と肛門は括約筋を結集し抗った。だが高子の鉄の指は突き破った。アヌスとセックスの二所を占拠した。高子の指は前後で快動した。女軍人は性感に沸騰した。白眼を剥き、唇から愛の歌を咆哮した。ミリタリ女は高歌した――
数十秒後――

東洋の人妻は、屈強な女軍人をイカせてしまったのである。指の快い導きだけで――魔攻は失神事態に到達した。
高子のフィンガーテクニックに、オーガニズムが何十発と爆発し、淫らな美指の媚戯に、ミリタリ女の肉体は燃え溶け、床に沈み、泥のように蕩ける木偶(でく)と化したのである。
魔愛の現場から、狂気の嬌声は熄み、平穏と平安が拡がり、清雅と清流が流れる――

九穴を性液塗れにさせて法悦失神した女軍人の躯(むくろ)の傍らで、美人妻は尋ねた。

「あたくしサイトシーイング、観光って言ったでしょ。ここの秘密基地に隠してあるユーフォーを見に来たんだけど、どこに隠してあるのかしら? おしえなさいよ」

美しき来客の急な求めに、コミュニケーション能力の高そうな軍服男が応対した。
ハリウッド女優のようなタイトなドレスに着替えた東洋のエトランゼを連れて、紳士のエスコートは――
異文化交流に慣れているのか。渉外の武官は、地下ハンガーの一室へ人妻を案内した。UFOの展示室と保管場所であった―― 広い人工空間の地底世界に、宇宙異界からの貴重なる遺物を閉じ込めていた。
「ふーん」
視察を求めておきながら、円盤をたいして興味もなさげに眺める妖女は、顎に手を当てる仕草は平凡な人妻のようであった。
豊かな尻を妖しく揺らしながら――寂寥を湛える地下の異空間に、妖艶なる人妻の呟きは流れた――
あたくしと似た種族のものかしら――
美女は冷涼とした地底世界より太陽光の満ちる地上へと上昇した。



 
地上に上がると、ミュービスマルクが待っていた。
いや、待ちかねていた。
「また会いましたわね、奇遇ね」
改造人間に声をかける。
「いや、あんたを追っかけてここまで来たんだぜ!」
「あなた素敵ね」
「そうだ、素敵だぜ」
「ヤリたいって言ってたわよね」
「そうだ、ヤリたい盛りだ、たまんねえぜ。やると言ったオレを無視しやがって、信じられねえ」
「あたくしの即席の大ファンでストーカー男さんって訳ね」
異国の太陽の下、人妻は着衣を脱ぎはじめた。
超健康的な裸族と化した。
午後の陽光が輝く世界に――美しき女肉が煌く。
危ない魔人同士、気が合うようであった。
「あなた、あたくしを食べたい?」
「おう!突っ込んで大事な所を喰いちぎってやるぜ!」
「野外プレイがいいわ。見せつけてあげましょう」
「オレのものをくわえな」
「欲深いわね。あとで舐めてあげるわ」
「早くしゃぶれ」
「ええ、その前にビアンカさんのお礼をしなくては」
フルヌードが急接近した。
全裸の人妻がミュービスマルクを押し倒し顔面騎乗すると、尻のグラインドが豊饒に舞った。
ぐいっ!! ぐちゅっ!!
美牝は大きな尻を使って好意に快動させた。
陵辱者を陵辱する美女であった。
「むひい!」
白い尻の圧迫はミュービスマルクの顔面を窒息させた。
「ご褒美よ。柔らかくて、おいしいわ。舐めなさい」
強く圧し当てた肉の充実が、顔じゅうを甘美に圧迫してゆく。
数分間お尻に敢闘させると、高子の怪力は改造人間の頭を掴み挙げ、巨乳に顔面を激突させた。
「ぶぶっ……!!」
窒息プレイの連続攻撃であった。豊かな乳肉が異常密着しミュービスマルクは呼吸が出来ない。息が出来ない。ここでも窒息してしまう。
「どう?あたくしのお乳。肉が詰まって息ができないでしょ。呼吸困難になりなさい。きもちいいわよ」
高子はさらに強く乳肉に押し当てた。
「もっと、きもちよくしてさしあげるわ」
魅惑のスマイルは、美腕は改造人間の頭をさらに押し込めた。
刹那、異音を発して、人外の魔為は――
乳肉にメリ込んでゆく――
顔皮と乳皮が一体化し、男の顔と女の乳が融け合う。
「ぐふっ……!!」
ミュービスマルクの頭を少し戻すと顔はすでに失われていた。数センチ溶解してしまっている。妖女の乳肉と一体化したのだ。
「ぐぐ……!!」
高子は妖しく微笑む。美麗の化身は決定的に強く押し込んだ。
とどめとばかりに―― 官能美が捕食する。
「溶けなさい――」
強化人間など朝ご飯だ。
プロテインとカルシウムとミネラルのたっぷり詰まった養分だ。水分補給も兼ねた栄養飲料だ。
このレベルの超人体では女妖魔の敵ではなかった。
インスタント彼氏は巨乳の餌食になった。
人妻の美手が―― まだ残るミュービスマルクの下半身に伸びた。
超人男の体はゴムのように引き伸ばされて、陽物を掴みとった妖手は――
「舐めてさしあげるわ」
美唇は拘引した。改造人間の男根は精液を撒き散らしながら、妖女の美唇が捕食の本懐を完遂してゆく。雄の量塊を陶然と呑み込む――
海綿体も陰嚢も精嚢も精巣も妖女の舌に載った。
「ぐちゅ……くちゅくちゅ……もぐもぐ……」
美貌の嚥下であった。炎天下に男を丸呑みした。妖異は過食した。
「ズボズボ……」
濡れた肉の音を怪しく響せさせながら捕食の快宴は赤裸々に急進した――

「あれでは化け物女のご馳走になってしまいますぞ」
監視カメラに映った美魔女の魔行ぶりに、遠くの研究所の所員らは恐慌した。
超人男は3分の2ほど吸収され、吸精美女は魔食を敢行中だ。
「あやつら精気を吸って生きておるわけで」
「活きのいい戦士など送り込めば、餌として捕食されるだけで」
魔道科学者らの議論は魔法美女という名の戦慄を前に錯綜した。
「東洋魔女の実験研究はただちに中止だ。観察対象は処分する。No.2、No.1を呼べ」
マッドコーネリアス准将は命令指示を出し、女妖魔の殲滅を決意した。



 
長髪の美青年が居た。
美青年アンドリューマックス。
研究施設の改造人間のナンバー2だ。
呼ばれし者は、タカコのもとに向かう前に試愛に臨む。
ポルノ女優3名を所長の前でイカせる。
エロスのデモンストレーションは、セックス能力の試行は、改造人間の示威だ。
セックスボーイはその極致を達人した。
美青年は指でポルノ女優たちのアナルと性器を弄った。
「タカコはこんなに簡単に死んでくれるかな?」
ポルノ女優アリスはショック死する。
だが、アリスはふたたびペニスを打ち込まれた衝撃に肉体が再起動した。
ベティも一度突き挿されて死亡する。次にインサートされて再生した。
クララも巨根を挿れられたショックで死体と化したが、快美の衝撃に蘇生した。
愛の戦役に性器を汁塗れにして女体三体の復活劇は魔宴した。
「まだボクは射精してません」
真面目に言った。温存している。タカコとの一戦に備えて。
ウォーミングアップであった。
序章であった。予行であった。準備運動であった。
セックスボーイの魔指は舞った。女どもを攻めた。
ポルノ女優アリスは欲望の凱歌を絶叫し、ポルノ女優ベティの舌はラブポエムを歌い狂い、ポルノ女優クララは愛欲達観の冥域に達した。
「ボクはまだ射精してませんよ――」
麗人は指の効果を発揮し続けた。愛欲が悶える。
魔戯を攻指されて、ポルノ女優三体は、性液をぶち撒ける肉袋と化した。肉体は卑猥な悲鳴を噴き上げた。官能の讃歌は絶唱していった。



 
「――では、お手合わせ願います」
それから数十分後、
高子と性青年アンドリューマックスは空軍基地のバックヤードで交わる。
その対戦は――紳士であった。
航空ハンガーの屋根が覆うコンクリート床に、生身の裸体男女の超人セックスは、のたうちまわった。
生々しい生命が性交する。
瑞々しい生気が奔放する。
軍人兵士たちが見守るエロスの交戦は超妖の祭祀が進行する。
職業軍人たちが注視する。性戯をロハで見学できる。超人男女のプレイを。
愛の神事は饗宴する。
筋肉隆々の男体はプロビルダーのような四肢に、雄牛のような筋量が炸裂していた。怒張が凄すぎて岩のようだ。
亀頭の肉量も脅威の形状を誇った。
岩のような皮膚が捲れて荘厳に勃起した。
肉筒は皺を伸ばし砲身がエレガントに巨砲してゆく。亀頭表皮が潤沢に光沢を反射した。
肉隆は勃起という名の変容を完了させると、男性器は女性器を何度も擦った。
「おお」
「おお」
そして、前戯を熄えて突っ込んだ。
メタリックな挿入感は高子を充足させた。
艶やかな快美感覚は苛烈した。
「これは!!気持ちいい――」
高子の性器は特別製だ。妖魔の逸品ぶりは――蠕動と蠢動が人外の性能を証明した。
「気持ちいいわ」
美男子は天然潤滑液まみれの膣奥に一射した。大量吐精が充満した。グランスが愛液と混じった。
迫力のピストンを繰り拡げる巨魁が、膣汁塗れの淫肉感覚を排莢した。
猥褻なイジェクト音が飛散する。
体外へと出現した粘液塗れの美巨根は、見せつけるように媚汁を垂らし移動する。
膣液や精液にギラついている。
撞きつけられた先は美貌だった。
肉杭は頬を打つ。
筒先からカウパー氏液をたっぷり浮かべた雄棒は美貌をぐいぐい弄い擦る。
巨大ペニスが女頬を往復し殴打する。
高子も積極策に出た。生意気な雄の武器をいやらしく咥えた。美口に含んだ。深く呑み込んだ。美貌が変形し窄まる。フェラチオがバキューム音を添える。
じゅぼじゅぼ……ちゅるちゅる……
優雅なねぶり音が響き、蕩ける感触は口戯する。豊潤なる舌巧は淫蕩した。
素晴らしい拘引術が快愉を与えると、オスはたまらず屈服した、オスの武器は粘液を発射した。
連射とはおもえぬほどの勢威で白濁は勢いよく美口を汚した。
多量に射した。
美女の口唇は男の液でいっぱいになった。
飲む。
舌が精液をきれいにした。
熱き白濁を嚥下する。
長い睫毛が目を細めて汚液を呑んだ。
うまいわ――美味しいわ。濃くて味があって――
高子は精液の量と粘りと匂いに満足した。
じゅぽ……ぬちゅ……
男根と女唇は離合する。
巨根は再び尻を目指す。
涎の幾筋も這った美尻に。高子の白い尻はうやうやしく持ち上がった。
くねり上がった高子の肛門を超人の男根が貫く。
筋肉美青年が激しく怒気する。
美男子が赤鬼のごとく膨体し加熱した。
「タカコ様、死んでください」
タカコをセックスで殺すべく凄まじい性戦闘モードになった。
破城槌は性感を激昂させ、豊満なる女体を貫いた。超人の衝撃だった。
「んおっ!」
ペニスサイズがでかくなった。容赦無く腸内で変身した。
巨根が更に巨根に成りながら、ウルトラ・ピストンが激快し激壮した。
スーパー・スパルタン・セックスが裂帛する。痴情に愛は流れる。痴愛が発散する。
直腸じゅうに痴態の快楽が滲み込む。
男根の二段階変身であった。いけなかった。女肉が悶えた。
異物の性感は腸に隙間無く詰まった。内臓を押し上げた。内臓を震わせ体感を占拠した。
ぴりり……
奇音を発ててメスの後穴は裂けた。
「きゃああ!」
高子は悲鳴した。
性感は新次元であった。
アンドリューマックスが溜まりに溜まった濃厚なザーメンを美肢体に洪水射精した。
尻を犯されている高子が叫んだ。
「いいわ!これよ!合格ね!あなた!あたくし満足しちゃったわ!」
あまりにも人外していた。妖女の肉も身も心も体も――
「いくわね、いったわね?あたくしも、いくわよ!」
妖女の魂が剥けた。
あさましい欲情が出迎えた。美貌の迎撃であった。鬼女の本性の昂熱であった。
超人美男美女の性欲が燃え上がってゆく――
地上に人外領域のスーパーエロスが激突する――
超男性は眼を剥いた。
セックスマシーン同士の超官能の総和が決壊した。
時空が歪むような神的領域の誕生であった。
美牝獣は超人アンドリューマックスを平然と搾った。恐ろしい陵辱音を発てた。
挿入はエピキュリアン(快楽主義者)の悲劇へと達した。
勝負は決した。
精悍な筋肉体は濃い白濁液を2リットル以上も放出し精汁をぶち撒ける快美の灰燼と化した。
「GOAHHHHHHHH!!!!!」
長髪の美青年は大量の精液を噴き出しながら快楽崩壊した。過量の精汁を絞り取られて軽くミイラと化した男体は、妖女に搾り尽くされる快感の絶歌を“絶唱”した。



 
聖なる青年、ネオジュリアンは美青年だ。
短髪である。
この研究施設のナンバー1であった。
改造人間という風では無かった。
威風した。
世界に威厳した。
聖者であった。
副将を屠り斃した高子は――素敵な“彼”と逢うために研究施設に走り戻った。平然と息も上げずに。
聖と魔の最終決戦を前に、初対面の超人男女同士が挨拶をする。
「……はじめまして。タカコさんですか」
「……さっそくですが私とセックスしていただき、死んでもらいます」

高子に対して聖青年の風格が威圧した。
聖者は美の化身であった―― 美麗なる男天使だ。
マントを脱ぎ捨てると身長190センチ体重95キロの肉体美は精悍し、問答無用の男性美を至宝した。
裸体は美像を彫塑した。
均整と迫力、理想の体躯であった。
高子は跪いた。股間を見上げながら、太く長く凄まじい肉棒を、美瞳は熱く見つめる。
物凄い物量感に注視する。人妻の熱っぽく煙る表情が、セクシーでハンサムでストロングな雄体に、視線が射るように吸いつく――
惚れている。男性器官の偉観に恍惚とする。
聖者は硬く勃起して魅せた。
途轍もない肉の武威は仰角の天意と化した。長大巨器が畏怖を湛え雄峰する。
陶酔するメスの貌に、
聖者は美と力の裸像から、いきなり大量を放った。
手も触れずに巨大男根から粘液が噴射された。
精液であった。
ハンドフリーであった。
大きく美しい肉棒の先から白濁の粘り珠は噴き荒んだ。
高子の美顔に白濁液が載ってゆく。
美貌がみるみるザーメンに陵辱されてゆく。
すさまじい量であった。
すさまじい迫力で巨根は白濁の放物を次々射した。
精液が超人的に載った。
美しい貌を精液まみれにする。
汚す――という実感があった。
こってりと顔を汚される。
女も実感した。
開いた高子の口にも精液は多量の糊となって載った。舌に唇に精汁は重なり合って過載した。聖なる汚液は粘々しく拘泥した。
美巨根と美貌の官能的な絶景であった。
顔射の王であった。
「すごいわ、あなた、馬か牛なの? 野獣みたいよ。素敵だわ」
超人の精液が顔面を粘る。
高子の舌と唇が精を味わう。舌で粘液塊を絡めて呑んだ。舌で掬って運んだ。匂い発つスペルマを人妻が嚥下した。
美貌に汚液を滴らせながら、高子は美手で白濁を擦り拡げた。精液の刺激臭が美肌に版図を拡げた。
顔も胸も体も精液臭くなった。
後ろを向く。四つん這いの美女は、尻を高々と掲げて彼を求めた。
貌を征服された女が、さらなる恥辱を求めて、屈服と屈辱の体位が、雌の肉球が天に向かって秀嶺した。
濡れた瞳は獣のポーズだ。
「来て」
聖が魔を遇した。
雄と雌はメカニカルな結合音を発した。
超人美男美女が合体する。汁気たっぷりに一体化する。精悍な男女は生殖の情熱に高雅する。前哨戦は後背立位であった。エロスを交戦した。媚汁塗れの淫闘は数分間の昂揚を熱した――性戦の興奮を濫りに昂じた――
「パワーダウンさせなければ」
ネオジュリアンが対面座位へと体位を変えた時、空白のバックに突然、小男が飛びついた。
予想外の異変であった。
乱入者は研究所のナンバー4、スマイルスペンサーであった。中肉中背で童顔、筋肉質の小男だ。エロスへの参戦は、硬質な男性器が高子のアヌスを奪った。
「そいっ!」
「はうあ!」
闖入者は高子の後ろを奪った。陽気な勃起力が挿り抉り、肛肉肛汁を掻き廻す。肛門の刺激にアクメが暴騰する。
「そおれっ!!」
女一人を男二人で攻めるタッグ戦は、人妻タカコを一気に潰さんと陵辱意志した。
だが――
高子は“性決闘”を望んだ。
エロスの主将同士の単騎戦を。
だから――
「お邪魔虫さんは消えなさい」
「ぐわっ!」
高子が二、三度、尻を振ると、スマイルスペンサーはアナルに吸引された。みるみるうちに熱い女肉の沼に沈んでゆく。
「ぐをを…!!」
お尻にぐんぐん 吸い込まれた。
「ぐひいッ…!!」
ぐんぐん 手足がめり込み、艶やかな尻にスマイルスペンサーは消える。人妻の尻に吸収される。その間わずか30秒。
丸まっちい体のナンバー4はお尻の餌食になった。女妖魔の完食であった。
「お尻の養分になりなさい」
登場から僅か2分30秒でこの世界から消滅した。
「奥さん、捕食しましたね」
「ええ、そうですわ」
「スマイルスペンサー君は私の愛弟子です。捕食するとは許せません。ならば聖なる罰を与えねば――」
怒りに震えるネオジュリアンは魔攻した。
いや、聖攻であった――
「タカコさんは」 と、さんづけで訊く。
「私の秘密をたっぷり味わってからイキなさい」
ネオジュリアンの体の秘密は――
無数の聖遺物を体に埋め込んだ聖体であった。
聖性が溶け込んでいる。
聖人が聖性を発露した。
魔物魔性のものにとって、聖体に触れられることは消毒に等しい。いいや、それ以上だ。
苦痛を伴う。いや、甘い苦痛が“いい気持ち”にさせる。
「おおっ……!!」
聖性の発現に高子が叫んだ。
「あそこが灼ける!」
ぶちぶちぶちッ……!!
膣が剥ける勢いであった。
甘美な刺激に美尻の皮膚は悶えた。
「ひいっ……!!」
火傷したみたいに熱く膣肉をエロージョンした。
ナチュラルローションまみれの魔尻に、灼熱の聖なる棒を突っ込まれるのに等しい。
聖物との結合に、常軌を逸してルブリケーションした高子の魔膣は、聖痕を猛象し――灼かれた。
肉肌に浮かんだ魔性の徴(しるし)であった。
「いいものをあげます。あなたの死です」
「妖魔とて死にますよ。ちゃんと処置しましたらね」

聖青年ネオジュリアンは、肉体を勃起させるかの如く、怒張した。
筋肉質を超えた超筋肉質ボディが驕慢した。
聖を追求しすぎた聖者は――魔の域に達した。
魔道と化した聖青年の狂態であった。
聖青年はデーモニッシュであった。聖と魔が逆転していた。創造と破壊が矛盾する。
「死ね!タカコ!死んでしまえ!」
光の精液を大量に噴く。
聖なる射精の喝破は、破壊の意志に狂喜する。
破悦は怒濤の巨波となって男天使の一撃は、美しい精液が美女を破壊してゆく。
「ひい!!」
妖女の崩壊であった。
高子を破壊してゆく。
破戒は――
聖液は妖魔の肉の結合を解き放った。
妖女とて人と同じ臓器を有しているのか。
高子は――破邪顕正の精液猛射の一撃を浴び、肝臓、肺臓、食道、胃腸を噴き上げ分解した。
「ひぎいぃ!!!!」
溶解する高子は、喉から嬌声を噴いたが、美声は超高音を発し声帯ごと濫りに激唱し、喉が溶け千切れて空中分解した。
美女はエロチックに崩れてゆく。液体状態に近づいてゆく。
(!効く!?効きすぎるわ!?溶ける!溶ける!あたくし死ぬ……!!)
事態を報告した半溶けの美女は、美貌を維持できない。ペロリといった。
頭蓋骨から剥がれた顔面皮膚が落下した。
「これが美人の秘密ですよ。さほどマスクと変わりない」
顔は女の命だ。
「まあ血は通っていたようですね。妖魔の血ですが。人の血ではなくって」
それが床に捲れて載った。顔皮の山に、無惨、鼻梁が噴き飛んだ。耳朶が落ちた。美しい耳肉が千切れ落ちた。文字通り顎が外れる。歯茎ごと溶解し崩落する。舌が砲弾のように飛び出し、口腔を構成する部品があとを追った。鼻腔が蕩けてゆく。高子は顔面破壊されてピンクと緋色の生鮮肉の肉臭を発する肉地獄と化してゆく。
美肢体も破壊される。
赤色の美肉塊も溶落する。
腕がダイナミックにブルンッ!と外れた。
人形のように面白く溶烙した美腕であった。
四肢の関節が溶けた。外れるというより、もげた。美脚がドスン!と堕ちた。
乳房が爆発し脂肪と乳腺を四散させる。尻肉も皮下脂肪を噴き上げ爆発した。
肋骨を跳ね飛ばし、狂気のソーセージのごとく小腸はうねくり、大腸がまろび出た。
身体破壊の快美は強力であった。強過ぎた。
(見せ過ぎよ!!露出高過ぎよ!!あう!!)
床に落ちた喉が言った。
溶解した顔からねめつけたもの――
人妻の眼球であった。
だが聖超人の念力の破壊意志は無慈悲に、水晶体と網膜と硝子体が四散した。
大脳を直に露出し、それもぱっくりと割れて中脳小脳を露呈し、頭蓋の中身は剥き出しであった。
背骨をグロテスクに棘を背中に突き出す。妖女の背中が破けて小骨をぶち撒ける。
筋肉が千切れて飛んでゆく。神経が脊髄が糸を引き、筋肉繊維の自発的解剖の後を追った。
血管が静脈を湛えたまま、異界の論理は血液を湛えながら、肢体は分離してゆく。大腿骨が蕩ける。骨盤が溶けて保持力を失い多量の液体と化した。構造体は泥状の粘液と化す。
(……あう!……グロテスク!)
直腸が腸液を落涙した。
子宮が床に落ち、プリンのようにプルプル する。腫れた卵巣も卵管も魚のように禍々しい音を発して、床面を次々打つ。
狂った魚屋の捌きだ。
自然解体の奇現象は狂態した。美肢だった肉どもはエロスの皮下脂肪を裏返しにして見せた。快美の中身を凄惨した。
逞しい太腿だった大腿筋は食感すら湛えて解体劇を暴甚させ、切腹状態は常識の埒外の臓物の山と化した。
女の臭いが異臭した。
内臓臭を魔風させ、官能的な魔景は、卵巣剥き出しの事態を匂わせていたが、腎臓が尿管ごと前方突出した。子宮を引き連れて宙を踊った。
生鮮女体の肉塊の山の上に、無残の躯(むくろ)より排出された物――
(……あたくしの……ヴァギナよ)
たくましい膣が女王のごとく鎮座した。
幾人もの男達を愛し、幾人もの男達も愛し抜いてきた、高子の筋肉膣であった。
美膣の剥き出しを高子は感じた。
だが厳かな牝膣は聖なる念力の一撃を浴び四散した。
蠕動運動の肉筒は爆発する。
妖女の体は50秒から1分少々で肉塊化した。発熱する生気は魔性のミンチとなった。だが肉片になっても、なおも、貫いて、犯してと、セックスを求めている。いやらしい意志を放ちつづけている。周囲に性欲を伝達した。
凄まじい好き物であった。
凄まじい陵辱の光景に、魔戦を観戦した研究員たちは嗚咽した。研究員たちは吐き気がした。常識的反応であった。
これほどにバラバラに分解されても、妖物の生理現象は、妖魔の生理活性は、妖女の細胞は生きている。
妖物魔物の細胞は人知を超えた生命力であった。妖しく蠢いている――

「これこそ、セックスの醍醐味です」
「聖なる液を浴びて生まれ変わるのです。破壊です」


そこに―― 大量の聖水がぶっ掛けられた。
キリマンジャロ、ヒマラヤ、アンデスの雪解け水に聖秘術を施した聖水であった。
大量の聖水が床上に奔流し、高子だった物体を洗い清めてゆく。
魔物にとっては強消毒液にも等しい。
高子の肉々は燐光を発して燃える。
紫や緑の異様な煙を発し、禍々しくも蠱惑的な異臭を立ち揚げて、人ならざる異妖の肉であることを告げた。
浄化された。
怪奇が匂った。燃えて熱を発し妖物は次々に気体と化した。
化学熱を発し、放射熱を輻射し、妖異の残存物は煥発した。
高子だった物共は完全に消滅した。燃え尽きた。
彼らの勝利であり妖物の殲滅であった。

マッドコーネリアス准将は断じた。
「完全なる破壊こそが一番だ。汚物は消毒じゃぞ、ネオジュリアン君」
魔戦の勝利者ネオジュリアンは、その言に不満をおぼえたが、敢えて反論もせず、ラボの自室へと戻った。

平安が満ちていた。
妖女を一体、聖なる屠殺で処分した興奮のためか、すこぶる身体の調子がいい。よすぎる。神に感謝を捧げた。
祈祷書を手にした祈りの美体にエナジーが猛り狂う。
代謝が熱い。腹が熱い。
どういうことか?
答えは解かりきっていた。



 
鏡を見た。
臨月のごとく孕みきっている。
ネオジュリアンの体に異妖が生じていた。
男の腹が妊婦のように迫り出す。
事態を悟った。
気体にしたのは失敗だった――!!
凝結している。ネオジュリアンの体内で。
高子が。
聖青年の体に妊娠している。
妖女は全身の毛穴から口からアナルから、忍び込み、潜入し、体じゅうに満ちていのだ。
妖魔の気体に気づかず、エロスのガスが彼を包み、彼の周辺に密集していたことを。
妖異の脅威に彼の免疫系は機能不全であった。未知の侵略体に対しアラートを鳴らさぬ美しき聖体であった。
感知できぬまま、すでに聖者の体内で、蕩けきっていた。
――内側から喰われる!
――内より喰われて美味しく捕食される!!

宿主が運命を悟るやいなや、呼応するかのごとく、妖異は発現した。
タカコの寄生体は成長した。寄生美女は逞しく膨体した。
聖青年の体を借りて――聖青年の体の線が変形しはじめた――
高子のそれへと――
美青年の乳房は、高子の乳であった。
美青年の女尻は、高子の尻であった。
奇音異音を発てて聖青年は高子の体へと半分ほど変身した。
「うおおおおぉ!!」
「ひぃぎいいいぃいーー!!!!」
絶叫が迸り恐慌した。
だが、高子化していた肉体は、元の男の体に縮退した。僥倖であった。
と、思うやいなや、彼に休息は与えられなかった。
男の口はかっ開き、吐噴したのである――女膣を、つづけて女性器を、卵巣を、子宮を、女肉の部品を連続して吐いた。
雌膣が生々しく巨大な量感を湛えて噴き出た。
床上に放弾する。メスの臓器群を―― 山盛りに――
女臭する膣腔を、膣粘膜を、美肉を次々と吐露した。
聖なる嗚咽は――次々女肉を送り出した。
地上へと噴き出た膣は、女性器と尻肉を最初に再生させた。天衣無縫に発条した尻肉は妖しく膨れる。濡れそぼった秘裂を啜りあげながら、双峰の肉球は尻と成りて――肉感は欣然と張った。
地上での復活は卵巣、子宮、尻の順であった。
神のような女尻が眼前に、ぽう と浮かび厳粛した。
最初にお尻を取り戻す。生殖器を完成させる。
それが高子の意志であった。
(うんあぁ……)
お尻状態の高子の濡れた美裂孔が鬼音を唸った。
つづいて上半身が鬼の復活劇を開始した。
肉々は乳首を造型した。乳房を塑造した。揺れる胸先をずい と隆起突出した。動脈が走り、内臓未満の肉塊が追ってゆく。
どくん!
脂肪が溜まり、臓器が膨れ、潤滑液が汁感を集結させ、人肉人形が内臓を詰めてゆく。脂肪細胞が覆ってゆく。体液がむしゃぶり憑く。神経が走って網と成る。肉が変態流動した。熱い肉々が女体を彫塑した。
乳肉と尻肉は合体した。その間を臓器が夢中に詰めてゆく。妖汁塗れの蠱惑と蠕動が悪夢のように蠢く。
(あふんっ!!)
内臓が喋った。
ネオジュリアンの口が大量のカルシウム分を吐き出していった。
骨格の部材であった――
ただちに骨が形成された。
どくどくどくどくどくどくどくどく……
部品供給はみるみる進んだ。そして――
血液が流れ込み、ダイナミックに生鮮色を煌かせる生々しき美塊は、美女の肉体を怒張するかの如く一気呵成に造型した。
妖女は“頭以外の”肉体を完成させた――
頭部の無い高子の美手が、己が心臓をキャッチした。
美腕が胸部に心臓を埋め込むと、筋肉と脂肪と皮膚と乳が装甲の如く覆った。夢中で詰めた。異妖なる生還劇は美肌がみるみる覆った。
植物の出芽のごとく、首のない高子が、頭部と美髪を海藻か線虫のように振り乱しながら、盛り上がった細胞塊は、美貌を突出させた!!
ぶくぅん!!!!
鼻梁が美唇が双眸が、勃起するみたく美峰し、現れたのは艶然と微笑む聖女の濡れた超越的美貌であった。
うつくしい、
うつくしい、
狂いそうなほど
エロチックな復活であった。
新生児のような肌の肌理と艶であった。濡れた黒髪が無双の如く舞った。
高子は復活の言を発した。
美態が自らを祝言した――
「これこそセックスの醍醐味だわ!あたくし納得よ。聖なる液を浴びて生まれ変わったあたくしを見て。たまらない!破壊よ!爆発するセックスは最高よ!すごく良かったわ。わたくし溶けて燃えて蒸発しちゃったじゃない!死ぬわ!死んだわ!……でも見て!見て!……美しくなってる!!」
美しい人妻が、
美しい高子が、
美声が狂想の音を奏でた。
「ああ……あなた良かったわよ、奇麗だし強いし。それに気持ちのいい物も持ってる。気も強いし。気に入ったので、あたくしのペットにしてあげるわ」
高子がウインクすると、ネオジュリアンの下腹部は爆発的に膨れあがり、臨月妊婦のようになり、孕み腹の皮膚に断裂が生じた、そのまま勢いをつけ断裂が開孔した、怪異を分娩した、男体を、ナンバー4を、ネオジュリアンはスマイルスペンサーを出産した。「おぎゃあ!」 男が男を産んだ。スマイルスペンサーの体重は吸収前の半分ほどになっていた。「ふんぐわぁ!」 ネオジュリアンの体重もその分が減少した。
「あたくしからのご褒美よ。あなたたちは肉を分けあいなさい」
高子の美言がきらめいた。クルリと向きを変え、美鬼は准将の方を向くと、
「マッドコーネリアス准将さんは許しません。死んでもらいます」
高子は瞬時に審判を下した。妖しく笑みながら。いや、美魔女は死刑よりもいけない判決に到達した――
「いいえ、准将さん死ななくてもいいわよ。その代わりに、そうね。男にだって乳首はあるわ。ということは」
准将の胸部に女の乳房は造形されていった――
准将の胸からIカップは飛び出した――!
Iカップとは超爆乳である。
ぶるるるぅん!!!!ブヴァカァアアアァ!!!!
「女にしてさしあげますわ!」
マッドコーネリアス准将のIカップを念力で揉み弄う。乳腺が女みたいにゼリーみたく揺れる。
准将はいやらしいIカップの性感体感に悲鳴を爆発させた。
「あたくしからのプレゼントよ」
タカコが凄まじく願うと、准将の乳腺が急激に縮小し縮退し、脂肪の蓄積を失い分解され、エナジーが全身の毛孔から噴出し、まっ平らな貧乳と化した。解放したのか? いいや、試行に過ぎなかった。
「おほほ、ここまではテストね。ここから本気でいくわよ!!」
タカコがふたたび妖意を十全に意志すると、准将の胸部は凄まじいパワーに掴み挙げられ、再び乳腺が爆発的に発育発達しZカップを超え超乳体と化した。
否、超乳化現象は止まらない!爆発的に膨らんでいった! 准将は笑劇の肉体と化した。肉の山だ。「ZZカップね。ZZZZなにかしら?超エッチなバルーンだわ」
邪念が男の体をもてあそんだ。壮年男性の体が女になる。「ほぉら、もっと女になれ!ほらほら!お尻も腰も女になれ!」 骨盤がギチギチ と嫌な音を発てて拡がった。そこだけスーパーモデルみたいに骨盤が溶けて安産型に変形した。
ぐちゅぅん!!ぐちゃあっ!!メリメリッ!!ギギグチャアア゛ア゛ッ!!
妖女が更に魔改造の意志を送り込むと、准将の体は平べったくなった。まるで“ぬりかべ”みたいな、人肉のプレートだ―― 妖魔の翻弄は続いた―― 異妖のパワーを添えられる度に准将の体は“面白く”なった――

「あたくしの代わりに准将の体でもお調べになってご研究に励んでくださいな」
巨大な肉塊と化した将軍の肉皮膚を高子の美声は優しく撫でた。

あやかしの遊戯を数分で済ませて、高子は愉しい海外旅行を今日一日で切りあげることにした。
「大変な旅でしたわ。でも素敵な思い出になりました。またお会いするときには、今度は――皆さんとも“もっと蕩けあい”ましょう――」
研究所の所員達に淑女は送別の挨拶をすると、エロスの貴婦人は光輝を放ち発進した。オーラを激発させる。所内廊下に爆風が走った。窓ガラスが割れて壁にヒビが入り、壁面は紙吹雪のように噴き飛び、建築物が損傷する。美の加速は時速百キロ以上に達し、施設入口の検問ゲートを余裕で吹き飛ばした。旋風を巻き起こす神速体は更に増速した。新大陸に美の彗星が出現した。ウーマンパワーは光輝を放った。
研究施設から亜音速で快速する美女であった。美の光輝は海岸地帯を目指した。



 
新大陸の西海岸、夜のビーチに美しい女はいた。
人っ子一人いない闇の海を銀盆の月が照らす。
高子は海外テレビドラマ『ベイウォッチ』のパメラ・アンダーソンか、カーメン・エレクトラのような、赤いワンピースのハイレグ水着を穿いている。ボディラインの凹凸に吸着する人工繊維の曲線美を月光が舐め廻している。とてもエロチックだ。
「行くかしら」
美女がビーチを出発した。月照の海を目がけて。
「行くわよ」
美脚は海上を走った。
前後の肉球が揺れる海上マラソンを激走し始めた。
ハイレグ美女が月下を走る。
艶やかな快脚が超・ランニングする。
熱い美裸身は乳と尻をダイナミックに揺らして、猛回転する足が海面を機関銃のように打ち叩く。
人間離れした速力が海上疾走を成し遂げる――
海面に沈む前に高子の美脚は打撃のエネルギーを与え水上を駆ける。

人に海上走行は可能か?
いくつかの物理的条件をクリアすれば海上を走ることができる。

全長約80センチ、体重約300グラムのトカゲのバシリスクは後肢二本足で水上走行することができる。水に沈む前に足を前に出すという。爬虫類とはサイズは違うがヒトでも出来る芸当ではあるのだ――
人間の場合は時速108キロ以上の猛速力で疾走できるならば。

高子はそれに達していた。いや、それ以上であった。
乳房が踊る、尻肉が踊る。太腿の筋肉は疾走の主機関と化して発熱している。背筋も腹筋も超高速激走にパワーを奉仕している。
広い太平洋を横断するには一にも二にも速度である。高子は増速した。更にスピードを増した。
遥か上空、往路に彼女を乗せてきたジェット旅客機を追い越す勢いであった。
超長距離マラソンは時速800キロ以上の巡航速力へと達した。超爆走ランナーはエロスの駿脚であった。
牝の脂肪が心地好く快感し、優駿のハイスピードが太平洋を渡る。
肉体美の超絶景は、唯、走る――
秘裂より絶倫の女液を爆発的に発露させ、雌汁塗れの怪力体は闘気を濫溌する。アドレナリンを超強度で分泌する。
全身からジェットエンジンに匹敵するパワーを絞り出しながら、女体は吼えた。脚力は戦闘状態であった。
高子は地球上を最短距離で直線移動できる北寄りの大圏コースをとった。

6時間後、太平洋航路の三分の二ほどまで移動した高子は――
突如、驀進を熄めた。
当然、海面は反撥力を失い、表面張力の支持を失った女体は、どぼんと垂直に海中に落ちてゆく。
美しき水死体のように、海中深く潜ってゆく。否、泳ぎはじめた。高子の潜水水泳であった。凄まじい泳力はドルフィンであった。高子はイルカ以上のスーパースイマーと化した。
道中の途中、深海へ素潜りしてゆく。深海2000メートル、水圧が殺人力と化し、圧し掛かる冷水塊の地獄を、暗黒の海に無酸素呼吸の美体が潜航した。肺は極限まで縮退した。
美しい人魚のように平然と素潜りする女体は、どういう体構造をしているのか?

マッコウクジラは地球で最大の縦移動を行う哺乳類であり、潜水に特化した動物だ。
全身の筋肉中に大量のミオグロビンを有し、大量の酸素を蓄える。肺の空気を抜いて潜るため潜水病に陥ることもないという。妖女もそれに等しい機能を有しているといえた。

冥き深海でパワフルな“マーメイド”は神速の一振りで漁をした。美手は深海魚メロを捕らえた。白身の魚で脂が濃く美味しい魚だ。体長120センチ以上重量130キロ程の大物を生で捕食した。深海生物を野性味たっぷりの原初のディナーであった。
ワイルドなディナーみたいなものよ。獲れたてのシーフードね――
そうして栄養補給を済ませたあと、

深海底から妖女は3000メートルの距離を、マッコウクジラのごとく垂直に一気に急上昇した。激しい縦移動に水圧が急変化してゆく。血中の酸素が奇音を発てて気泡と化し猛発してゆく。
水面へと現れたのち、潜水病なんて平気の平左よ―― と言わんばかりに、美体は平然と遊泳を開始した。
高子の遊泳は―― まるでマグロかシャチのような海中の肉砲弾と化した。力強い超女の水泳は、しなやかな肢体が猛速と化した。全身の筋力の躍動は高速推進60ノット超を叩き出し、女神は流体力学の猛抵抗に挑んだ。



 
その3時間後、夕暮れのせまる千葉県の海岸に、赤いワンピース水着の美女が上陸した。
肢体はセクシーにくねりあがった。
海水浴場の監視員は、今日はこんな美人水泳客がいただろうか? と、怪訝した。
その女性遊泳客は腰に携帯した防水型ポーチの中に奇妙な出入国記録の旅券を揺らしながら。
壮絶な運動に、高子の血中には狂った乳酸値が濫りにあふれ、人外の疲労感は心地好い。
監視員の若い男と目が合った。いやらしい体だから見られるのは当然といえた。
監視員は、すげえすげえと、舐めまわするように高子を視姦している。
凄まじい遊泳能力で、水平線の遥か彼方、海の向こうの大陸から、走って泳いで来たのよ と、言いたかったが言えなかった。
若い男の子は美味しそうであった。誘って遊んで喰いたかったが、一悶着を起こすわけにもいかないわ我慢した。
お預け状態の高子は、乳と尻が競り揺れるようなモンローウォークで、色香を撒くセックスシンボルが、豊満な肉体を揺籃させながら、鮮烈なハイレグ水着が海の家へと向かった。
水着のまま軽くシャワーを浴び、潮水を洗い流すと、高子は出発した。
ファイナル・セクションへ――
さらなる陸走を開始した。
赤い水着美女が田園地帯を駈ける。その旅路は――女忍者ジャパニーズ・スーパーヒロインの飛脚であった。
夕闇の街に跳んだので人目にはほぼ気づかれなかったが、房総を走り翔ぶ美体が、一軒の住宅の庭先に飛び込んだとき、窓の外に赤いスイムウェアの肉体美女が忽然と現れて、揺れる水蜜桃の尻を目撃した初老の老人は、肉の迫力に眼を丸くした。至近距離で日常を破った艶やかな尻は、高子は即座にジャンプし、美しい尻は闇夜へ吸い込まれて消えた。一幕の妖劇であった。
人外の踏破力は自宅への帰路であった。壮絶なる人妻は超地球級アスリート美女と化した猛脚であった。
高子はラストスパートした。加速に加速を重ねた。スーパーウーマンは数十分後には都内へと到達し、美の弾丸は青山一丁目の自宅マンションへと帰還した。
玄関のドアを開けて美貌は一声した。
「ただいま帰りましたわ」
そうして帰宅した人妻の肉体は――汗と女液に濡れきった熱きアスリート体は――超地球規模のウルトラ・ランニングを完走したアルティメット・ボディは――
高子の性欲は我慢の限界に達していた――



 
ちょうど夫がいた。
夫も今しがた帰宅したばかりであった。
日本に帰ったばかりの高子は求めた。
身体が、であった。
男女の正しい交わりを。愛のある普通のセックスを。
なぜ美人妻が玄関で色気たっぷりに悶えているのか?
なぜ海外旅行に出かけたはずの愛妻がもう帰っているのか?

あなた、たのしんできたわ。たのしんできたの。そうしたらこんなことに――
混乱する高吉の面前で、高子の濡れた瞳が混沌を――カオティックな理由を訴えた。自肉をエモーショナルに揺する愛妻に、夫は妻の意思を理解した。
いや、理解せざるをえなかった――
あたくし、すごい目に遭ったわ、すごいことになったわ――
愛妻の熱い想いが流れこんできた。暗黒の銀河のように、赤色巨星のように、強く情感した。途轍もない旅情を込めて。
さらに理解せざるをえなかった。
悩ましい劣情を秘めて、美人妻が決定的にセックスアピールしたからである。
己の肉を撫で廻していた美手が、赤いハイレグ水着を引き千切った。長旅の戦友を、超長距離移動を共にしたウエットスーツを、自らの手で引き裂く。覆いが激しく破れる。繊維の破口から肉球がぷるんぷるん 飛び出し饒舌する。
「抱いて!」
水着の隙間から肉感がハミ出る。乳肉が凄絶に盛り出る。尻もくねり出る。異次元の誘惑であった。
「突っ込んで!」
高子は正直に言った。
肉は牝獣のサーガを力強く謳い揚げた。
じゅくじゅく……どぷどぷ……
性器は濡れた愛液を噴き上げた。分泌量は破竹の勢いであった。前代未聞の勢いはアヌスまで潤った。
「お願い!我慢できないわ!あなた愛して!」
愛妻の発情ぶりは肉食獣の生気が昂然と盛り上がった。
グチュ…グチュッ…… ヌルヌルッ……
「あたくし燃えているの!」
唇が、性器が、大陰唇が、陰核が、乳首が、荘厳壮烈に総隆起した。
夫、高吉は応えた。夫は女性器に男根を、雌唇に男舌を、妻のアヌスに男指を突っ込んだ。
ズンッ! スブッ…! ズボオオッ……!!
「あたくしのお尻を愛して、おっぱいを愛して、唇を愛して――」
乳を爆発的に盛りたてながら、尻肉にも血液を流入させ、メスの陰核と乳首は傲然と勃った。
あとは一瀉千里であった。
乳が潰れた。尻が潰れた。高吉が揉み弄った握力の感触であった。「潰して潰して」 快感があった。愛撫が全身を走る。肉という肉を舐められる。
ぶ厚い胸板に多量の唾液を零す。高子は歓んだ。腹筋の溝を指でなぞった。背筋のゴツゴツ感を美指は愉しむ、媚唇で肉根をしゃぶり抜く、亀頭を「ちゅるちゅる」と唾液蜜の舌唇で濃厚に拘引しながら、インサートされる。
小気味の好いピストンが鳴り響き、官能は高子を叩きつけた。
「ひい!」と泣き叫んだ人妻を、性愛の奔流は熱い大洪水となって乱流した。「ひぐ!」と悲鳴した女体は愛撫に溶鉱した。「ああふ」と鳴く女肉は熔けた。
「ひぐわ」と呻く膣孔は、夫の熱い精液精子が溢れ狂う感触に感動し、「ひあふ」と泣いたお尻の孔にも精液注入を求める。引き抜かれ、間髪、強き肉槍はアナルに突き挿さる。「ぐわっ」 感激は満ち、満たされる。「あいう」と叫び、「顔も陵辱して」と哀願が悶える。「胸にも背中にも掛けて。お腹にもかけてかけて」 美人妻は望んだ。「あああ!」 高吉は妻の願いを次々叶えていった。次々スペルマをぶっ掛けた。高子の媚肌はザーメンにまみれる。「ああんっ!?」 精液の匂いが滴り彩る。愛液が噴き出る。性液が潤み滲む。「あひい!!」 性汁まみれの二体の性獣は交戦する。愛の営みが熱闘する。
「ああああっああああっああああいぅうおぉおッおおおッッ!!!!!!!!」
夫婦の契りが潤み尽くしてゆく。美しい脂肪と美しい筋肉が一戦二戦と交情を重ねてゆく――
雌獣は性交を満喫する。
「あなたとのセックスが一番よ――」
ダブルベッドの上で美人妻は本気で言った。異常異妖の交わりが多過ぎたためであった。
獣となって愛欲を謳歌する。
肉体は官能と化し、官能は肉体の超然と化し、人妻は女体の極致と化し、女体は牝肉の究極と化し、超常の生命はエロスそのものを讃歌していった。




end


16/8/7 UP 8/8 8/10 8/12 8/31 9/4 10/12 11/1 11/26 修正 17/1/13-15 2/1 2/6-9 3-16 一部加筆修正 3/20 6/5-7 17 7/2 修正


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あとがき

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